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「銀さん…。」
気がつけば思い人の名を口にしていた。彼女は人知れず涙をこぼした。
もう彼に会えることは一生ないのだろうか。そんなことを考えながら。
布団に入っても眠りにつけなかった彼女はそっと自分のうちの玄関をしめると真夜中の薄暗い道を歩き出した。
お江戸で1番危険だと言われるこの歌舞伎町で。
もちろんいつもの真昼間と同じで人形のように静かに、でも顔は真っ直ぐあげて。
彼女はゆっくり歩いた。
彼のことを思い浮かべながら。
だからだろうか。何故か目の前で昔と全く変わらない彼が彼女の前に現れた。
でも彼も驚いたような顔をしていた。
「これは、夢…?」
ポツリと呟いた彼女の言葉と比例してポツリと涙も一つ溢れた。
ああ、今すぐ目の前の彼の元へ。
止めた足をもう一度動かすのにそう時間はかからなかった。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年1月16日 1時