【銀魂】居場所【沖田総悟】 (ページ28)

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26.標的は真面目な奴に限るページ28

「それ...任務なんですか？」

やっと落ち着きを取り戻してきた真選組屯所で上がった声はそんなものであった。

隊士が半数に減り、仕事が山積みの中、書類に埋もれながら顔をのぞかせたのはAだった。近藤はここ最近お妙の顔をろくに見ていない。こんな状態では仕方がないが、はっきり言ってもう限界を超えそうな域であった。ロマンスが足りない。

「それって、近藤局長が行かないと意味がないんじゃ...。」
「い、いやぁな！最近とっちゃんからも若い奴の目の方が優れてていいもんだ、おじさんたちの目はもうすたれていけねぇ、とか言っててな！」

冷や汗をかきながら近藤はちらりちらりとAに目を向ける。Aの表情からは疑っているのか信じているのかどちらなのか全く持ってわかりはしない。

いや、でもこの状況ではさすがに怪しまない方がおかしい。現にAが真選組に来てから近藤の頼み、もしくは任務に“NO”という返事は出たことがなかった。どんなに些細なことでも。だが、今回ばかりはそうもいかないらしい。

聞きたくないというより納得できないという感じである。まあ、無理もないが。

「この間の時はそのために近藤局長が出向いてたんだよな？わざわざ。それだったのに邪魔が入ってしまって無理だった。無理だったからって私が行くわけには。」

「そもそも私は真選組にはいってまだあまり日もたっていないし、役職にもついていないし...」というAの意見はごもっともであった。つまるところ、隊士の引き抜きに行くのだ。まあ、面接といった方が正しいだろうか、真選組の隊士の人数を増やそうというわけである。減ってしまったからなおさら。

もちろん本来ならば、近藤もしくは土方がその役目を果たすべきである。しかしながら土方は今回の件の中心人物といえば間違いでもない。もともと仕事がほかの隊士に比べて多い土方は今回の件でさらに上乗せされた書類と外回りに正直手が回っていない状態なのである。

そして、近藤はといえば。一言で言ってしまえば行けるのだ。土方ほど仕事を抱えているわけでもないし外回りなんかもない。だけれども。ここで冒頭に戻るのである。

お妙さん。

近藤には彼女が今すべてであるような気がしていた。いや、もちろんいつだって一番であり。すべてではあるのだが、今は悠長に隊士の選別などしている暇はないのだ。

であるからしてこうして仕事も比較的少ない？だませそうな？Aを標的に選んでいるのである。