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1.見える見えないは人それぞれ ページ3

真選組鬼の副長こと、土方十四郎。彼がおかしくなり始めたのは、ある呪いの刀を手にした時からだった。

ボコボコにされて帰ってきた彼に肩を貸していたのは紛れもなく、伊藤鴨太郎であった。不機嫌そうな顔をする土方に沖田はニヤリと含み笑いを向けた。


「えー、今日みんなに集まってもらったのはなぁ…」

近藤が嬉しそうな顔をして、酒を持ち上げている。近藤の隣にはもちろん土方。そしてイレギュラーで伊藤鴨太郎であった。

近藤は嬉しそうに帰ってきた伊藤と会話を交わす。相変わらず伊藤の言うことは難しいようで、近藤は伊藤に合わせるのが精一杯らしい。

「近藤さん、頑迷って何ですか?」
「うるさい!子供は黙ってなさい!」

総悟の無垢なのかそれとも策なのかとも言えない質問に近藤は慌てる。紛れもなく総悟の左手に持たれていたのは酒だったのだが。


そんなことよりも総悟が気になっていたことは他にもあった。先程から少しだけ開いた襖の隙間から見える黒い隊服。なぜ入ってこないのだろうか。

「近藤さん。」

伊藤が大いに演説したのち、総悟は近藤に呼びかけた。気になっていることを聞こうと思ったからだ。

「なんだぁ、総悟!!」

ずいぶん酔いが回っているのか顔も赤く、ふらふらしている近藤。しかし、そんなことはどうでもいいと言うように、総悟は真っ直ぐ襖に向かって、指をさした。

「あれ、誰です?」
「え?」

総悟が指差した先をみんなが一斉に見つめた。確かに少し空いた隙間から隊服が見える。しかし、仕事以外で出かけているもの以外の隊員は皆、ここにいる。それではあれは誰なのか。皆の顔が青ざめた。


ーが、近藤のみ、やばい、と言う顔をして、立ち上がった。何か知っているらしい。どたどたと襖に駆け寄り、なにやら隙間に向かって、ごめんごめん、と謝っている。

「遅くなったぁ!紹介する!」

近藤がそう声をあげ、少し空いていた襖をがらりと開けた。そこには少し幼げな綺麗な女。隊服を着ているが、着せられているような感じだ。

ざわめく部屋の中女は一つ礼をした。

「今日から真選組の一員になった、葉月A殿だ!何でもすごい腕が立つらしくてなぁ、とっつぁんからの送りもんだ!」

近藤の言葉についていけない隊士達。だってここは女禁じゃあないか。そんな空気を漂わせながら。そんな空気の中、女は短く言葉をはいた。

「葉月です。よろしく。」

2.酒は20になってから→←設定



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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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