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布団が敷き終わり、花様の肩を持って誘導する。膝に置いてあったざるは片付けて、竹も隣に置いておいた。汗の臭いが鼻をかする。




 こんなになるまで準備をしていただなんて、花様は病の小童を呼び戻すほど馬鹿で、そして頑張り屋さんだ。東側を見れば、鶯色の壁には本が張り付き、丸窓に達しそうなほど上へ上へと積まれている。




 「薬、急ぎますね」




 花様に視線を顔に向けると、ぴっとした。花様の目には一筋の涙が流れ、唇が内側へ巻き込まれている。花様の強い感情が溢れ、こんな俺にでも伝わってきた。




 一刻も速く作らなければ……!




 ざるを持って外に出て、草履をつっかける。もう履けていないに等しいほどで、わずらわしく感じて途中で脱ぎ捨てた。慌てて思考が追い付かず、何をして良いのか分からなかった。




 近くにある井戸に行って水を汲み、その水で薬草をもんだ。緑色で、時々粒々のある液体が流れてくる。胸からいつも使っている、竹の水筒をとりだして、それに液を入れた。本当はすり潰さなければいけないのだけれど、やってられなかった。




 いつしか、感極まって涙が出て出て、出て止まらなかった。




 ――どうして花様が病気にかからなければいけないのか、どうして御誕生日会の今なのか、心の中は悔しい思いで一杯だった。





※猿は胸から何か取り出すシーンが多いですが、どらえもんじゃないです。

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設定タグ:ローファンタジー , 歴史、時代小説 , 和風・東洋ファンタジー   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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征我(プロフ) - この小説の背景画像が・・・欲しい!けどやり方分からない・・・ (2017年2月17日 17時) (レス) id: a30172f436 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - アイアン・メイデンさん» まだまだ未熟者ですが、誉めてもらえると自信がつきますね! ありがとうございます(*^^*) (2016年1月28日 22時) (レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
アイアン・メイデン(プロフ) - コメント失礼します。作者様の文章能力の高さにすごく驚きました!自分なんて、まだまだだなぁ、としみじみ感じました。情景がすごく綺麗に書かれていて、心惹かれる様に感じました! (2016年1月28日 21時) (レス) id: 599729810b (このIDを非表示/違反報告)
月影櫻詠(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» そりゃないぜハジェンス (2014年12月30日 12時) (レス) id: a24476e1ca (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 月影櫻詠さん» ゆーあーくれいじー (2014年12月29日 23時) (レス) id: fc7cab67c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年6月12日 22時

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