40 ページ41
布団が敷き終わり、花様の肩を持って誘導する。膝に置いてあったざるは片付けて、竹も隣に置いておいた。汗の臭いが鼻をかする。
こんなになるまで準備をしていただなんて、花様は病の小童を呼び戻すほど馬鹿で、そして頑張り屋さんだ。東側を見れば、鶯色の壁には本が張り付き、丸窓に達しそうなほど上へ上へと積まれている。
「薬、急ぎますね」
花様に視線を顔に向けると、ぴっとした。花様の目には一筋の涙が流れ、唇が内側へ巻き込まれている。花様の強い感情が溢れ、こんな俺にでも伝わってきた。
一刻も速く作らなければ……!
ざるを持って外に出て、草履をつっかける。もう履けていないに等しいほどで、わずらわしく感じて途中で脱ぎ捨てた。慌てて思考が追い付かず、何をして良いのか分からなかった。
近くにある井戸に行って水を汲み、その水で薬草をもんだ。緑色で、時々粒々のある液体が流れてくる。胸からいつも使っている、竹の水筒をとりだして、それに液を入れた。本当はすり潰さなければいけないのだけれど、やってられなかった。
いつしか、感極まって涙が出て出て、出て止まらなかった。
――どうして花様が病気にかからなければいけないのか、どうして御誕生日会の今なのか、心の中は悔しい思いで一杯だった。
※猿は胸から何か取り出すシーンが多いですが、どらえもんじゃないです。
9人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
征我(プロフ) - この小説の背景画像が・・・欲しい!けどやり方分からない・・・ (2017年2月17日 17時) (レス) id: a30172f436 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - アイアン・メイデンさん» まだまだ未熟者ですが、誉めてもらえると自信がつきますね! ありがとうございます(*^^*) (2016年1月28日 22時) (レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
アイアン・メイデン(プロフ) - コメント失礼します。作者様の文章能力の高さにすごく驚きました!自分なんて、まだまだだなぁ、としみじみ感じました。情景がすごく綺麗に書かれていて、心惹かれる様に感じました! (2016年1月28日 21時) (レス) id: 599729810b (このIDを非表示/違反報告)
月影櫻詠(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» そりゃないぜハジェンス (2014年12月30日 12時) (レス) id: a24476e1ca (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 月影櫻詠さん» ゆーあーくれいじー (2014年12月29日 23時) (レス) id: fc7cab67c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年6月12日 22時