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下女に花様の居場所を聞くと、4階の中央の間にいるであろうと言うことだった。4階には真ん中に大部屋がひとつと、それを取り囲むように中小部屋が8つあった。そこで晩酌をして楽しむのだ。
一段一段の間が広い階段を登って行く途中、3階の所である色を見た。闇に囲まれた炎のような光景。紺色の単衣の中に紛れた、猩々緋色の着物。倒れているが、誰一人として声を掛けない。
「花様!」
平穏がピストルで撃たれた。
汗だくになった花様は、廊下の端で息を切らし横になっていた。病み上がりで体力のない時に手伝ったからだ。
「花様、いかがなされましたか?」
花様を抱きかかえ、背中に自分の腹をつけると、ぺたんという感覚がきた。生地が汗を染み込ませ元の弾力がなくなってしまったのだ。花様の腹にやった手は、物凄い熱気に満ちていた。
花様は息を切らしたまま、俺の腕に顔を埋めた。そして、頭を振った。もう駄目だ。
「俺がおぶりますから、行きましょう」
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征我(プロフ) - この小説の背景画像が・・・欲しい!けどやり方分からない・・・ (2017年2月17日 17時) (レス) id: a30172f436 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - アイアン・メイデンさん» まだまだ未熟者ですが、誉めてもらえると自信がつきますね! ありがとうございます(*^^*) (2016年1月28日 22時) (レス) id: 665ef5492b (このIDを非表示/違反報告)
アイアン・メイデン(プロフ) - コメント失礼します。作者様の文章能力の高さにすごく驚きました!自分なんて、まだまだだなぁ、としみじみ感じました。情景がすごく綺麗に書かれていて、心惹かれる様に感じました! (2016年1月28日 21時) (レス) id: 599729810b (このIDを非表示/違反報告)
月影櫻詠(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» そりゃないぜハジェンス (2014年12月30日 12時) (レス) id: a24476e1ca (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 月影櫻詠さん» ゆーあーくれいじー (2014年12月29日 23時) (レス) id: fc7cab67c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年6月12日 22時