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あなたは ページ10

「はぁ…はぁ…っ」


苦しくなる息、
冷たい空気を吸いすぎて痛む肺、
肌に突き刺さる強風…


千「やだ…やだ……」


お父さん、お母さん、


きっと生きてるでしょう?


きっと明日か明後日には
あのドアを「ただいま」って言って開けるでしょう?

お母さんは変わらず勉強しなさいとか手伝いなさいとか言うでしょう?


お父さんはお酒で酔っ払って帰ってきて私の頭をぐしゃぐしゃに撫でるでしょう?


クスクス笑うお母さんの顔も
へにゃって崩れるお父さんの顔も

大好きな


家族の温もりも


消えたっていうの?


感謝の言葉
謝罪の言葉


何も言えないままに?



千「誰か……たす…、け、て…っ!!!」


涙は止まらない。
限界をとうに超えた足は次第に力を入れられなくなり、千尋はその場にへたり込んだ。


千「ここ…どこ……?」


目の前には不気味な石像と
赤いトンネル


千「風を吸い込んでる…」


『千尋……』


どこからかはっきりと声が聞こえた。


千「誰なの…?私を知っているの……?」


ただでさえ悲しいのに
ものすごく大きな切なさに襲われて

千尋は大粒のあたたかい涙を流した。


『千尋。』


千尋は、何かに惹きつけられるようにトンネルの中へ入っていく。


真っ暗で怖くて冷たくて。
なのに
あたたかい何かが千尋に流れ込んでくる。

『怖がるな。私はそなたの味方だ。』

『でも不思議だね。千尋のことは覚えていた。』

『千尋の元気が出るようにまじないをかけて作ったんだ。お食べ。』

『私も思い出した。千尋が私の中に落ちた時のこと。靴を拾おうとしたんだね。』

『さぁ行きな。振り向かないで。』


ずっとずっと私を呼んでいた声。

その声が頭の中でこだまして

思い出せなかった記憶が一つずつ
確かに目を覚ましていく。

とても愛おしい人
とても大切な人


私の命を救ってくれた人


あなたの名は…


『私の名は』


トンネルの出口。
眩いほどの光。

千「ハク…。」


『ハクだ』

5年ぶりに→←消えてく、消えてく。



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
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やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

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