検索窓
今日:17 hit、昨日:6 hit、合計:79,621 hit

どうしたらいいんですか…? ページ7

千「ちょ、ちょっと!どこいくの、佐藤くん変だよ、ねえ!!」


佐「ごめん」


千「い、いや…」


佐「荻野、俺と付き合って」


千「へ?!」


生まれて初めてされる告白、とやらに
なんと言葉を紡げばいいのか分からない。


佐「俺、お前が好きなの。ずっと前から。」


異性から言われる「好き」という響きがなんだかもどかしくて、
千尋は顔を赤らめた。


千「で、でも…」


言いかけた千尋の言葉に重ねるように

佐「返事は今じゃなくていいから!ちょっと考えてほしい。じゃあなっ」

と言い残し
走って下駄箱の方に行ってしまった。


千「……何よ…もう……」


恋愛感情など抱いているはずもない相手なのに、自分の鼓動が高鳴っていく。

顔が熱くて、冷静になれない。


明「千尋…?」

千「あ……」

明「顔真っ赤……。あの…さ…何があったの…?」

無理に笑おうとして顔が歪んでいるのが見てわかる。
千尋は何て言ったらいいのか分からず
言葉につまる。


千「な、なんもないよ」


咄嗟に出た言葉だった。
これ以外に何と言えよう。
まだ未熟な千尋には明日香の想いを交えても
こう嘘をつくしかできなかった。

明「そう……」


重くなる空気。
2人の間に沈黙が流れ、千尋はこの空気に耐えられず押しつぶされそうになってしまった。

それを察知したのか、明日香は明るい口調で話を変えた。

明「ごめんごめん!私が首突っ込むような話じゃないよね!」

千「……」

明「それにしても本当に綺麗だね、このゴム。ちょっと解いて見せてよ。」


明日香が千尋の髪を解こうとゴムに手をかける。

千「やっ、やめてよ!やだ!!」

頭が事についていかず、本能的に強い口調で明日香を拒絶してしまった。

千「あ……」

宝物のように大事なゴムではあるが
明日香になら触れられようと構わないはずなのに。
千尋の冷静さがとことん欠けていた故に
思いもしない言葉を言ってしまった。


明「あー…ごめん、ごめんね私、千尋の邪魔ばっかで。今日は先に帰るね!ばいばい!」

泣きそうな声を押し殺して最後まで笑っていた彼女は
自分の泣き顔を晒すまい、と俯いて走っていった。


千「私…なんでこんなことしちゃったんだろ…。」

きちんと本当のことを伝えて謝ろう。

そう心に決めて、鞄を取りに教室へと戻った。

伝わらない→←憂鬱な1日



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
113人がお気に入り
設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。