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千尋の想い ページ45

少しの沈黙の後


ハクと千尋は見つめ合い
ゆっくりと唇を重ねた。



千「……明日かぁ…」



明日がくれば
もう会えない。


考えることもできない。


私の中から


ハクが消えるんだ。



ハク「そうだね…千尋、きっと幸せに」


ハク「幸せに……生きて…。」


千「…ハクも!!」


千「無理なんかしちゃダメだからね!湯婆婆にまた無茶に働かされて怪我なんてしちゃだめなんだからね!!」


千「辛いこと一人で抱えんのも、ずっと独りで寂しくなるのも、」


千「変に無理して強がろうとすんのも、」


千「自分のことなんてどうでもいいやなんて思うのも…!」


大粒の涙がとめどなく流れ
千尋は途切れ途切れに言葉を伝える。


千「絶対、絶対だめなんだから!!!」


ハクは
ここまで自分を思ってくれている彼女に
思わず貰い泣きしそうになる。


ハク「うん…きっと。きっと千尋の言う通りに……。」


千「きっとじゃダメなの!絶対なの!」


千「私ばっかり傷つかないでハクがいっぱい傷ついて…そんなのやだ…!」


ハク「…私の最も深い傷はそなたが傷つくこと。それ以外ならどうってことない。」


千「私だってっ…そうだもん……っ」


ハクは千尋を抱き締め
背中をさすった。


ハク「千尋は優しいね…。千尋にそんなに愛されている私は
間違いなくこの世一の幸せ者だ。ありがとう。」


その言葉にまた切なくなり
千尋はしばらくハクの胸で泣いていた。


ハク「私とて…離れたくなどない……。」


ハクは

小さく
小さくそう囁いて

千尋の涙を拭った。


『私がここにいればハクの身までが危ない』
今日初めてそれを実感した千尋は

「帰りたくない」など口にできるわけもなく


千「ごめんね……ハク…。」



涙声で呟いた。



その事を考えると



「また会える」とか




……全部全部儚すぎて。



綺麗な星空は
一日の終わりをそっと告げているけれど


眠るという行為も惜しいくらい

あなたが愛おしくて

あなたを感じたくて。


その想いは
お互いに同じこと。


ハク「千尋が寝るまで起きててあげる…。」


千「寝ないもん…」


同じ布団に潜った二人は
長い口付けを何度か交わした。


ハク「愛している……。」


その囁きを
千尋は聞いただろうか。


千尋が目をつむりながら流した涙を
ハクは拭ってやれただろうか。


星の光だけが静かに照らすハクの部屋で

二人はいつの間にか眠りについた。

今日は。→←最後の夜



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
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やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

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