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最後の夜 ページ44

千尋が部屋に戻るやいなや

ハクは彼女に抱きついた。


ハク「遅い…」


千「へ??」


千尋が外に出ていたのはものの2、3分である。


千「遅いって!すぐじゃんすぐ!!」



ハク「…遅かった……」


ぎゅうっと抱きしめられたかと思った時にはもう
ハクの唇が千尋に触れていて。


ハク「こんなに暗くなってしまったね…」


物凄く寂しそうに言ってこちらを見つめるハクに
千尋は何も言えなかった。


ハク「千尋、花はどうしたんだい?」


千「あっ、ああ!すっかり忘れてた」


ハク「しおれてしまうよ?」


ふふ、と笑みをこぼすハク。


どこに置いたんだっけ、とあたふたしながらも
千尋は机の上に白いツツジを発見した。


少し元気が無くなっていたが
押花にするなら問題はない状態だった。


千尋は自分の鞄の中から適当に教科書を抜き取って
花を薄い紙に挟み
丁寧に教科書を閉じた。



千「向こうに帰ってからこっちのことを思い出せるような物…いっぱい持って帰りたいんだ…。」


ハク「そうか…。」


もしそれで思い出せたとしても
私はこの世界にはもういない。


本当にこの事を知らせないままで良いのかと
ハクは一瞬血迷ったが


知らせれば千尋が泣き崩れるのは目に見えている。


ハクはその行為を踏みとどまった。


ハク「今日は…星が綺麗に見えるね。」


千「あ、そうそう!さっきハクにずっと言ってたんだよ、星が綺麗だよーって!」


ハクは千尋の頭を撫で
二人並んで窓から空を覗いた。


千「あっ」


夜空に一瞬
明るい線が浮かび上がった。


千「流れ星だ!!!見た?見た??」


千尋は生まれてからそう何度も見たことがない流れ星に心を躍らせた。


ハク「見たよ。綺麗だったね…。」


千「今の流れ星見れたの他に何人いるんだろ!」


ハク「ふふ、私と千尋だけかもしれないね。こんなに美しい物を二人占めなんて…随分運がいいものだ。」


その時、ハクがほんの少し
顔をしかめた。


千「ハク……まだ痛むの…?」


ハク「ほんの少しさ、大丈夫。」


しかし実際には

ズキン、ズキンと痛む身体よりも

自分にとって最後の夜だ、という実感の方がハクの心を痛めつけた。


無論それは
ハク自身以外誰も知らないこと。


そんな辛さも笑顔に隠して

ハクは千尋の表情をまた
笑顔に変えた。

千尋の想い→←お互いの命は



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
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やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

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