大切なのに ページ41
湯「息はまだある…ありったけの薬を持って来な」
湯婆婆は不安を抱きながらも
従業員に指示をした。
千「ハク！！！」
千「ハクしっかりして！目開けて！！」
千尋の涙が玉になってポロポロと溢れる。
「どきな！邪魔だ邪魔だ！」
薬の壺を持ってきた従業員が
まじまじとハクの様子を見て顔を青ざめる。
「これは……」
口には血を吐いた痕
背中には穴が空き
服の至る所に痛々しく血が滲んでいる。
湯「なにぼーっとしてるんだい！早く治療しておやり。」
慌てて従業員が
傷口に薬を塗りこむと
ハクは一瞬苦しそうに顔を歪ませた。
千「ハク…お願いしっかりして……！」
千尋は祈るような思いでしばらくその場に立ちすくんでいた。
「もうやれることは充分やったさ…湯婆婆様…後は意識が戻るのを待つだけです」
湯「そうかい…ありがとうよ、ご苦労さん。さあみんな仕事に戻んな！！お客さんを待たせてるよ！」
湯「千尋、ハクは部屋に運ばせるから先行って待ってな。」
千「……」
ただただ泣きながら
目を開けないハクの顔を見つめる。
湯「なぁに…泣くこたぁない、きっと目を覚ます。」
湯婆婆は珍しく
坊以外に向かって優しい言葉をかけた。
千「ハク…このまま話せなかったらどうしよう…っ」
湯「平気さ。こいつは色々と図太いからそう簡単に死にはしない。…もうお戻り。」
千「はい……。」
千尋は湯婆婆になだめられ
俯きながらハクの部屋へ戻った。
・・・・・・・・・・
……私のせいだ。
私がお花なんて見たいって言ったから。
湯婆婆は人間を狩りにきたって言ってた
私なんかがずっとこの世界にいるから…。
私がいなければハクが傷つくことなんてなかったのに。
千「もう…嫌……」
明日香、
お父さん、お母さん、
それにハク……
どうして…？
みんな大切な人なのに
みんなに迷惑をかけて
みんな…消えてしまうの…？
千「ハク……」
千尋はハクの布団で目を覆いながら
大口を開けてやっと出たかすれ声で
小さく呟いた。
ハクの匂いを感じる。
つい昨日まで
ハクの胸で寝ていた
ついさっきまで
ハクに触れていた
そのハクが
今ここにいない
笑っていない
目を開けていない
色んな想いが交差して
千尋は胸が張り裂けそうだった。
千「こんなのやだ…！」
窓の外には
沈みかけた夕日が
ゆらゆらと燃えていた。
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やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです！千尋の両親の運命は？続編お楽しみに！！ (2018年8月12日 20時) (携帯から) (
レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です＾＾ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´；ω；｀)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます！ (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです！いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´；ω；｀)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします！！ (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき | 作成日時：2014年11月29日 15時
