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春の麗らかな日差しに ページ38

ハクが想いを巡らせていると


千尋がふと話しかける。


千「ねえハク……ハクは消えたりしないよね…?」


不安そうな声


ハク「消えないよ…千尋にまた会うまでは…。」


本当は会えないのに

永遠の別れなのに


今のハクに言える精一杯の嘘


千「本当…?」


ハク「ああ…。」


千「本当に本当……?」


ハク「本当。」


千尋の目を見つめ頭を撫でてやる。


千「よかったぁ」


そう言ってへにゃっと笑う千尋の顔

後何回見れるだろうか。


刹那
窓から一枚の花びらが舞入って来た。


千「みて!花びら!!」


ハク「ツツジの花びらだね」


千「沢山咲いてるの?」


ハク「一番綺麗に咲くのはもう少し先だけど、もう春が来たんだ。きっと綺麗だよ。見に行くかい?」


千「行きたい!!」



その言葉に二人は外へと旅立った。


ハク「ほらごらん。きっとあそこから飛んできたんだね。」


ハクの目線の先には
沢山のツツジの木が密着して
まるで花畑のようになっている。


千「すごい!ツツジって沢山集まるとこんなに綺麗なんだね」


白とピンク、交互に植えられたツツジの木は
まるで絵に描いたように美しかった。


千「ハク見て……花ごと落ちちゃってる。可哀想…」

そういって千尋は
白い花を拾い上げた。


ハク「雨に当たって落ちてしまったのかもしれない。可哀想だね。」


千「私この花、押花にする!向こうの世界に帰ってもちゃんと残るように。」


それはいい考えだ、とハクは頷いて微笑んだ。


白ツツジの花言葉
それは「初恋」


千尋にぴったりの花言葉だった。


大事そうに手に乗せて微笑む千尋。


ハクは不意打ちをかけるように
そっと千尋に口付けた。


千「んっ……な、なによもう!いきなりじゃびっくりしちゃうでしょ!」


ハク「怒ってる?」


千「……別に…!!」


ハク「ふふ、千尋はそんなに小さな命も大事そうに抱えるね」


千「綺麗だと思っただけ!」


一度照れたのが収まらない千尋は
未だ強がったままである。


ハク「命はみんな…美しいよ。」


ツツジの木陰に隠れて
ハクは千尋をつよく抱きしめた。


しばらくお互いの温もりに浸っていた二人だが
千尋が一本の桜の木を発見し言葉を放った。


千「あの桜、まだ全部は散ってないんだね」

桜に近寄り
千尋はハクの膝に寝そべった。


千「気持ちいい…。」


ハクの肩に揺れている木漏れ日と
ひらひらと舞い落ちてくる桜の花びら。


春の柔らかい風が
優しく二人を包んだ。

闘志→←過去の温もり



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
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やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

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