検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:79,603 hit

ハクの一面 ページ28

千「やっ…ハクっ…」


ハク「何?」

その質問とは裏腹に
ハクは答えさせる隙もなく千尋の唇に喰らい付く。


弱々とした腕で、

千尋はハクを離そうと彼の胸を押した。


しかしその手は掴まれ
すぐに床に押し付けられる。


ハク「…嫌?」


といじらしく聞いてくる彼に

千尋は何と言ったらいいか分からず
ただただ顔を赤くした。


ハク「…ふふ、冗談だよ。乱暴な真似はしないさ。ちょっとからかいたくなっただけ。」


ハクは上手いように事を言ったが
本当は彼自身がこれ以上は我慢がきかない、と思ったのだ。

千「ばっばか!!変態!」


涙目で本気で叫ぶ千尋の姿が可愛くて
笑いながら頭を撫でる。


千「でも変なの。お客さんにこんなことされた時はすごい怖かったのに。」


ハク「ん?」


千「ハクは怖くない、不思議だね。」


思いがけない言葉に
ハクは思わず目を見開く。


ふふ、と笑いながら
そんな事を言ってくれる千尋が健気で


今すぐ喰らい付きたくなってしまう。


ハク「何を言う!!もう寝るぞ!」


急に焦り出すハクに千尋は小首を傾げた。


千「えーハク眠いのー?」


ハク「…抑えられなくなるだろう……」


千尋はやっとハクの言葉の意味を理解し
背を向けて寝ているハクの頰がほんの少し
紅に染まっているのを見て

一瞬で顔を真っ赤にした。


千「や、やっぱ変態!おやすみ!!」


背中をぴったりくっつけて千尋も寝ようとするが
鼓動がばくんばくんとうるさくて

目も閉じれない。


千尋「(背中だけあったかい…)」

ハクの確かな温もり。
愛しくて愛しくて


なのに


もうじき手放さければいけない

その次にはいつ感じることができるか分からない


もう泣くものか、と思っていた千尋だが

堪えても堪えても

涙は滲んできて


ついに千尋の目から涙が流れた。

ハクにばれないように。
静かに、静かに。
声がもれないように。


止まれ…止まれっ…。
いくら念じても全く止まりそうにない涙。

むしろどんどん大粒になる涙。


同じく千尋が気になって目もつむれずにいたハクは
千尋の背中が微かに震えていることに気が付いた。


ハク「千尋…?」


ハク「泣いているの…?」


千尋の方に体を向けると
彼女は布団をぎゅっと握りしめて
声を殺して泣いていた。


ハク「……おいで、ほら。」


ハクはゆっくりと手を広げ
千尋の体を包み込んだ。


ハクの胸が千尋の涙で濡れる。

ハクはその後
千尋が眠りにつくまでずっと彼女の背を撫でていた。

最初で最後の人→←二人きりの部屋で



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
113人がお気に入り
設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。