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自由へ ページ25

ハク「湯婆婆様」


湯「ハクかい。用を言いな。」


ハク「千尋のことです。」


ハクは湯婆婆に
自分の出した答えを淡々と伝えた。


湯婆婆の顔色が変わっていく。


湯「お前…本気で言ってんのかい?」


ハク「はい。もう決めたことです。取り止める気はありません。」


湯「でもハク…お前はその道から逃れるためにここへ来て私に魔法使いにさせてくれとせがんだんだろう?」


湯「私の手下として汚い仕事をさせられるにも関わらず…。」


ハク「もう…決めたことです…。」


湯「そうかい…。こっちとしちゃ残念だね。私が死んだ時にはこの宿をお前に任せようと思っていたんだがね。」


ハク「湯婆婆様!…そんなこと仰らないでください…。」


湯婆婆は指をひょいとあげて
一枚の紙切れを宙に浮かせた。

湯「まあいいさ。ほら、あんたの契約書だよ。」

その紙はひらひらと揺れながらハクの手元に渡った。


「珀」とだけ記された契約書。
何年も前に
人間によってあっけなく壊され
意識を失いかけた幼き龍神が書いた文字。

紙を手に取ると
ハクの本当の名がジワっと音を立てて浮かび上がった。


「饒速水琥珀主」


その文字は紙から浮かび上がり
ハクの体へ溶け込んでいく。


湯「さ、これで契約は切れた。もうお前は自由さ。思うようにすればいい。」


ハク「ありがとうございます。感謝いたします。」


湯「……お前は本当に優しくて愚かな龍だ。銭婆の言った通りだね。」


湯婆婆の目にうっすらと涙が滲んだのは気のせいか否か。


ハクは深々と頭をさげて
湯婆婆の部屋を後にした。


・・・・・・・

ハク「千尋、待たせたね。」


千「ハク!!!おかえり!」


パッと目を輝かせ子犬のように駆け寄ってくる千尋を抱きしめる。


ハク「千尋…今日と明日はずっと一緒にいよう。」


千「え…?働かなくていいの…?」


ハク「ああ。湯婆婆に許可をとったさ。」


千「湯婆婆も休ませてくれたりなんてするんだね!!ハクと一緒かあ…嬉しい……」


そう言ってにっこり笑う千尋を見ていると
少し心が痛む。


ハク「ああ…一緒さ。ずっと二人でいよう。」


千「うんっ。」


ハクの思わぬ報告に
千尋は心から喜んだ。


ハク「千尋……。」


千尋への想いが波を打つ。
残された時間は後少し。




千尋。千尋のしたいままにしていいよ。




私と最後に何がしたい?

千尋の心に→←ハクの決意



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設定タグ:千と千尋の神隠し , ハク , ジブリ   
作品ジャンル:恋愛
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やっさん - この作品、完全に映画の続きの設定ですね。千尋がハクと再会し、千尋がハクとの恋におちます。切ないこのだい一篇の結末ですが、まだまだ本番はこれからです!千尋の両親の運命は?続編お楽しみに!! (2018年8月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
airi - な、涙が止まりません・・・、この作品最高です^^ (2017年1月4日 3時) (レス) id: ccd59f3af1 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ふゆきさん» 返信遅れてしまってごめんなさい…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました(´;ω;`)嬉しいお言葉励みになります、ありがとうございます! (2015年2月21日 15時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆき(プロフ) - 最後まで見て感動でいっぱいでした。 (2015年2月9日 23時) (レス) id: 83691007b7 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 楚誉さん» そんな事言っていただけで嬉しい限りです!いつも見てくださっているんですね、本当にありがとうございます(´;ω;`)続編にも突っ込みそうです…これからもよろしくお願いします!! (2014年12月8日 13時) (レス) id: 3184e8d971 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さき | 作成日時:2014年11月29日 15時

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