最後の5分僕は君に愛を告げる (ページ18)

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第３章思い出ページ18

夏休みが始まり、数日経ったある日

僕は君に呼び出された

場所は君が通院している病院のちょっとした中庭

そこに行くと、君はベンチに座って待っていた

「ごめん、待たせたよね？」

『別に待ってないよ？』

「で、どうかしたの？急に呼び出して、」

『……私には時間がありません』

「え？」

『君と進級する事も、卒業する事も出来ないかもしれない』

『だから、約束して欲しいの』

「何を？」

『私の言うことを聞くこと！』

「……いいよ、なんでも聞いてあげる」

『ありがと！』

君は残り僅かしか生きられない

辛いはずなのに笑っている

「これから診察とかあるの？」

『もう済んだから帰るよ』

「一緒に帰ろっか？｣

『あたりまえでしょー！』

そして僕達は君の家へと歩き出した

君と2人で

数分歩くと、いつも登下校時に通る道に出た

この道を君と並んで歩く事はいつか出来なくなる

それは遠い話じゃない

くだらない話で笑ってい

くだらない事で意見が割れて

拗ねた君の横顔が、言葉が愛おしくて

繋いだ手が暖かくて

君の家に近づくと君は僕の手をきつく握って

それでもその手を離すしかなくて

君に背を向けて歩き出した時、どうしようもない寂しさがあって

あの日のの僕には考えられなかった

君が居ない毎日を

僕の憂鬱で普通な毎日に

僕の目に君が映って

僕らは君が居ないと僕らじゃなくて

前までの普通は、今の普通じゃない