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cap3 ページ4

<コード>

その島へ向かう道中。

海軍も海賊もおらず、退屈な日々を過ごしていた僕は、はぁ、と溜め息をつき甲板に寝っ転がった。

いや、島についたらどちらにしろかなり面倒な事に巻き込まれるのだ。

何となく、そんな気がする。

体力は温存しておいた方がいいだろう。

海軍や海賊と戦うという暇潰し方法は諦めて、マジックバックから取り出した本を開く。

すると、何処からやってきたのか、結構大きな黒い鷹が肩に止まった。

「鷹君、ちょっと退いてくれるかい??」

言葉が分かるのか、肩から降りた鷹は僕の隣にきて本を覗き込んだ。

「君は言葉が分かるのか??」

「うむ、分かるぞ。…我も共に旅をしても良いか??都合が悪ければ別に構わぬのだが」

「大歓迎だよ」

「そうか、良かった。我はルーウという」

「僕は…コード。これからよろしく、ルーウ」

鷹…いや、ルーウに笑いかけてから分厚く重量感のある本に視線を戻した。

英文が筆記体で書かれている。

恐らく、ルーウには読めないであろう文章。

読めたとしても理解は出来ない筈だ。

空想の世界の話だと勘違いするに違いない。

だが、これはエルダーテイルの世界の話なのだ。

実在する、本当の世界の話なのだ。

僕はエルダーテイルの世界をこの本で思い出す。

そして、エルダーテイルの世界をこの本で確かめる。

この本には僕の魔法をかけてあるのだ。

エルダーテイルの世界の話がこの本に自動的に書き記されていく…そんな魔法をかけたのだった。

だから、この本はエルダーテイルの世界が終わるまで永遠にページが増えていくのだ。

流石に、新しい本に移行する事もある。

これは100冊目だっただろうか。

こんな事を考えている間にもこの本のページは増えていくのだろう。

一年に一冊の本が完成する。

その本から覗くエルダーテイルの世界。

僕の仲間達が暮らす僕の“故郷”。

あぁ、と僕は呟き、涙を流す。

また一つ、記憶の欠片が消えていった。

シロエという付与術師(エンチャンター)。

僕の大親友である彼の記憶の欠片が。

また一つ、消えていったのだ。

忘れないで。

僕は小さく、そう呟くのだった。

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作者名:LIMONADE x他1人 | 作成日時:2015年11月23日 11時

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