cap30 ページ31
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あれから20時間。
火拳が連行される時間になった。
だが、麦わらの“治療”は未だ終了していない。
喉が裂けても叫び続けるボン・クレー。
そして、インペルダウンの“新人類”達。
僕はそれをただ静かに眺めていた。
応援はしない。
応援しても届くわけが無い。
願いは、届かない。
僕の願いは届かなかった。
戻りたい。
___戻れない。
帰りたい。
___帰れない。
願っても願っても。
僕の願いは、永遠に届く事は無い。
そんな事を考えていた時だった。
思わず、眉を潜めた。
麦わらの声が、止んだ___。
「血…」
涙を流すボン・クレー。
麦わらが死んだと思っているのだろうか。
「貴方なら助けられるんでしょう”!!?麦ぢゃんを助げで!!!お願い”!!!」
大粒の涙を流し掴みかかってきたボン・クレー。
冷ややかな視線をボン・クレーに向け、ゆっくりと立ち上がった。
鎖を刀を斬り、扉を開ける。
「食料を持って来い、山程な」
「分がっだ!!!」
「急げ!!!」
ボン・クレー達が食料を運んで来る。
それと同時に麦わらの手がその食料を掴んだ。
「麦ぢゃん!!!」
バクバクと驚異のスピードで食べ続ける麦わら。
麦わらが手を止めたのは、30分後だった。
「ん治ったぁ〜〜〜〜〜!!!」
胴上げされる麦わらを見て、少し微笑んだ。
ボン・クレーが倒れたのが視界の隅に写り、溜め息と共に近寄る。
マジックバックから杖を取りだした。
「ハートビートヒーリング」
ついでに麦わらの傷も癒す。
疲労を完全に消す事は不可能だがそのまま蓄積されていくよりは断然マシである。
「うおっ!!!お前、何したんだ!!?」
体が緑色の光に包まれたのが物珍しかったのか若干、目を輝かせながら聞いてきた麦わら。
魔法だ、とか言ったら面倒な事になるのは目に見えていた。
「…僕の能力だよ」
一言、呟いた。
嘘はついていない。
職業とサブ職業。
此方ではそれを能力と呼ぶ。
ただ、それだけの違いである。
イワンコフは既に気づいているようだが、コイツは気づくだろうか。
「お前も能力者だったのかー!!!」
…コイツが単純で良かったと思った瞬間だった。
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作者名:LIMONADE x他1人 | 作成日時:2015年11月23日 11時