CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ6)

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結論として。私の昼休憩は見事に吹き飛んでしまい、動物保護棟へと足を運ぶことは叶わなかった。

朝摂取した病原体、治験薬のせいだ。普段であればこんな事は起こらない筈なのだが、過剰な出血───血の抜きすぎによる貧血、加え治験薬の組み合わせがまずかったらしく。私の中にある『身体の不具合を無効化する機能』が両方に作用し、浄化に長時間の療養を必要としたせいで数時間ベッドの上でぐったり。

おかげで昼休憩の時間を大幅に過ぎてしまった。
それにしても。社会の変化によって獣人に属する種族の方達からの反対運動もあり、動物で薬の確認を行う非臨床研究が少し少なくなってきたからとはいえ。あまり安全性が確保されていない段階の薬を私に投与するのはやめて欲しい。

昼休憩を他の研究員とは違う時間に貰ったが、デスクでは邪魔になってしまうからと外に出たはいいものの。この時間では動物保護棟の職員の方に迷惑がかかってしまう為、訪問は諦めてしまった。
あまり食欲が戻らないからカップ麺は無理だなと思い、栄養食品を口に無理矢理詰め込んで水で胃に流した。

それからしばらく。仮眠を採れば体調が回復してきた為、指定されていた休憩時間中ではあるが研究室に戻ることにした。

...のだが、上長達は少し慌ただしい雰囲気で。同僚や後輩の研究員達はいつも通り仕事をしているが、私の直属の上司もその場には見当たらず、どこかへ行ってしまったのだろうと予想が着くことから何か、緊急事態なのだろうか。
自分のデスクにそろりと荷物を置いて、隣の席に座っている同僚へと小声で話しかける。

「...お疲れ様で〜す。どうしたの、アレ」
「おつかれ〜、...いや、何か不法侵入がどうのって」

不法侵入。午前中に聞いた『動物保護棟への侵入者』の話と重なり、思わず顔を顰める。ひとつは噂、もうひとつは真偽の不確かな今聞いたばかりの話だけれど。ここは国の重要機関なのに、侵入を許す事態が立て続けに起こるとは。

「まぁ、うちの研究室は一番最深部だし。本当に誰かが入ってきてたとしても、うちまでは来ないでし───」

同僚がマグカップを持ちながら、こちらを振り返って笑顔で話しかけてきたその時。
突如鳴り響く爆音。その音の発生源は同僚の後ろ、真っ直ぐ先の壁。

分厚いはずのその壁はバラバラと瓦解し、粉塵が舞う中浮き出てきた一人の人物の影。
それはやがて姿をはっきりと現して、紫髪の男性がそこには立っていた。

「...お前がAか？」