CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ43)

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「ここ何日かAちゃんの力分けてもらってるやん？」

私にはその自覚は無いのだが。彼曰く、元は自分達が作ったお菓子でエネルギーを取り戻していたのを代わりに私で代用している、ということらしいのだけれど。

その仕組みが全く分からない。
彼は何もしていなくてもエネルギーを大量に消費してしまう為、その前に自らのエネルギー、つまり夢魔としての魔力のようなものを体液の状態で出しておくことで、後々失われたエネルギーをそこから摂取する、ということを今までやっていたらしいが。

(体液をそのままの状態で摂取するのは抵抗がある為、ある程度まとめて使用するお菓子に作り変えてそれを摂取しているらしい)

では、私の周囲にいるだけ、もしくは私の皮膚を舐める──いや、この言い方には少し抵抗がある。接触するだけで彼のエネルギー摂取が行われているのはどういう仕組みなのか。

種族特有の魔力(エネルギー)を摂取しなければならない、と考えると。

彼らは夢魔の血を引くわけだから、夢魔特有の魔力を摂取しないと、もしくは人間からの夢や"悦"の感情を摂取しなければ生きながらえることができない──ただし私が与えるものは夢や感情から返還された魔力ではなく、直のエネルギーらしい──ということになるわけだから。

…私自身が夢魔の血を引いている可能性が浮上してきたのである。

だが、うらたさん曰く『周囲にいるだけで他人に力を分け与える夢魔やお前みたいな体質の夢魔の話は聞いたことがない』とのことで。

孤児院でもう少し詳しく自分の話を聞いておけばよかった、と思いつつも。自らが人間であることすら疑わしくなってきたのだ。

そんな状態ではあるが、坂田さんにずっと力、エネルギー、もしくは魔力と呼ばれるもの、らしき何かを与え続けていたのである。

…周囲にいるだけで他人に力を分け与える、という下りはつい先日、志麻さんが『新しいやつ仕入れてきたんよ』と言い銃の試し打ちをして帰ってきた時、満面の笑みで『今日は調子が良かった』と報告してきたことから、である。つまり力を分けていたのは坂田さんだけではなく、彼ら四人全員に、だろう。

彼はその、分けた力の話をしようとしているらしい。

「俺、四六時中お菓子持っとかなあかんかったしさ、夜も純血の夢魔ってわけやないから寝えへんとしんどくて」

ぽつ、ぽつと言葉を探すように話す彼。

「でもな、Aちゃんに力分けてもらうようになってからはちゃんと寝れてるし、今までないぐらいに元気やねん」