CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ34)

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毎日顔を合わせていた彼、彼女らの顔を思い出しつつ記憶のページを次へ、次へと捲る。そのページを捲る手を止めた。少しの違和感に気を取られて。

…うらたさんがセンラさんに向けて言ったあの言葉。
『実際コイツを連れてくるようお前が俺に推薦したのもこの体質が理由じゃん』。

つまりはそう、彼は、私が彼のことを知るよりも先に、彼は私のことを知っていた。それはUSSSの四人はそう、拉致しに来たから当たり前なのだけれど。でも、それよりも。三人より早く私を知っていた訳を、あの態度に隠されているのは、理由は何なのか──

そう、思考を巡らせているうちに眠りに落ちてしまったのである。
そして迎えた翌朝、現在に至る。

朝日が眩しい。どこからか聞こえる鳥のさえずりさえも、寝ぼけたこの頭には混乱を増幅させる要素に他ならなかった。

どうして私は易々と寝られているのか。神経が図太いにもほどがあるだろう。

「…Aさん、起きてます？」

コンコンコン、と三回のノックの後に聞こえた彼の声。昨夜迎えに行くと言っていたセンラさんだ。返事をするとドアを開けた彼。こちらは寝起きなのだが。

…もう、正直半ば諦めかけているところがある。クローゼットから服を取り出してこんなんどうですか？なんて聞いてくる彼に視線を向けながら、内心何でそんなに用意がいいんだと若干怯える。

どれも少し大人っぽい、もしくは可愛らしい服ばかり。私が少し顔をしかめて嫌そうな表情をすると彼は瞬時にしゅん、とした表情になって「ダメですか…？」と聞いてくる。やめろその顔、こちらが悪いみたいじゃないか。

動きやすい服装で、あと白衣を下さい。と短く告げると大人しく私の要望通りの服を出してくれた。なんだ、あるのか、シンプルでラフな服。

着替えは流石に自分でしますから、と彼を部屋から追い出して着替えるといつも通りに近い恰好。それに対して"いつも通りではない"環境にちぐはぐとした違和感。

…素直に着替え終わったと彼に告げると、今度はドレッサーの前に連れていかれてお化粧をされる。そして次にヘアセット。彼が満足したように離れた時には、いつも通りではない自分がそこにいた。

「誰ですか、これ」
「…Aさんですよ？」

わかっている、そんなことは。
ただ、ドレッサーの鏡に映った自分が。綺麗に鮮やかなメイクを施され、美しく巻かれたその髪が。
どうも、自分のものではないように思えたのだ。