CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ11)

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日が、沈む。

先程響いた銃声は、紫髪の彼が引き抜いた銃が発した音だった。その後、カランと金属がコンクリートを跳ね、滑る音。

──実弾だ。

僅かに漏れる、自らの空気を呑む音。大きなその銃声に驚き、思わず視線をその弾丸が転がる先へと向けた。
地面に転がったそれ。誰の呻き声も聞こえないことから先のあれはおそらく、威嚇射撃。

視線をそのまま上げると、ぞろぞろと勢揃いしているお揃いの制服に身を包んだ警備員、加え機動隊と思われる人達がいた。
人々の間に緊張が走る。今まで実弾を使ったという形跡は無かったが、ここに来て弾丸を放った彼。

しばらく、風の吹く音だけがその場に流れる。その緊張を崩すようにあちら側からは後方、両手を上げて一人の男性がこちらへ歩いてきた。おそらく、それなりの立場の人間。

交渉、「彼女を解放しろ」という要求。

拒否。

目的を引き出そうと会話を試みているのだろうが、あちらが出す目的を探るような話、引き換えに与えるという諸々に彼らは首を横に振るばかり。

目的。確かにそれは私自身にも不明で、気になる要素ではある。夜に沈んだ研究棟の屋上、目を凝らしながら彼らの表情を窺う。変わらず余裕そうな表情を浮かべながら、彼らは怯まずに言葉を並べる。

その様子を、固唾を飲んで傍観する。私は今どうするべきか。動くべきか、果たして。

突然、頭に硬い金属が当たるような感覚。
息を呑んだ。引き金を引く前の、金属が擦れる音が耳元で響く。

拳銃を、突き付けられている。

もう片方の耳元で、先程の赤髪の彼だろうか、「ごめんな」という声。その心底申し訳なさそうな声色は、"撃つから申し訳ないと思っている"からなのか、"撃たないことへの証明"なのか。

どちらにしても恐ろしいことに変わりは無い。私が息を止めてその恐ろしさから抵抗出来ずに、正面を見据えると正義の味方達の中で動揺が広がっている。

そのざわめきを沈めるかのように突如、突風が吹いた。轟音、プロペラの音。夜の暗闇に刺すような眩しい光。
思わず見上げると、そこには夜空に浮かぶヘリコプターが。果たしてこれは、警察側のものか、それとも彼ら四人が手配したものか。

...警察側ではないようだ。一瞬静まり返った人々の間に、またざわめきが起こる。
拳銃を突きつけられたまま、手を引かれた。それに素直に従うように後退し、方向転換。

目の前には、ヘリコプターからぶら下がる大きな縄梯子があった。