CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ3)

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ピピピ、ピピピ、というアラームの音で定刻通りに目が覚める。私が借りている部屋には窓がないから、寝起きに朝日を浴びることは叶わないが、いつも通り研究棟まで歩いたら出勤時刻には日の光を浴びることは叶うだろう。

孤児院を出て、ここに就職してからずっとこの部屋に住んでいる。一人で住むには十分な広さで、風呂トイレ別。勤めている国の機関の、研究棟へは同じ並びの建物だから朝は早く起きなくて済む。

うん、文句無し。なのだが。最近は会いに行けていない、近くの動物保護棟にいる猫ちゃんと一緒に住む手続きをしようとしているからもう少し、広い部屋に変えてもらおうと考えている。

いつも通りベッドから起き上がって、コーヒーメーカーのスイッチを入れて着替えを始める。ふわあ、とあくびをしてクローゼットを開ければ、規定の白衣がずらり。それを適当に取って、下の衣装ケースにある私服も適当に。うとうとしながら着替えれば、台所の方からコーヒーメーカーが抽出を終えた音が聞こえる。白衣を玄関前にあるハンガーにかけて台所へ歩く。

コーヒーと特売になっていた味のよくわからないシリアル、いつもの朝食。
それを持って席に着き、テレビを付ければ昨晩の事件の模様が放送されていた。テレビの中で繰り広げられるのは夜の街が爆発で倒壊する様、現金を崩れかけのビルからばら撒く人物の様子など。

あまり外に出ない私にとっては現実離れした光景だが、研究室の同僚は「この間帰りに電車が止まったかと思えば駅にテロ組織が張ってたみたいで～」という話を当たり前のようにしていたから、多分、日常的なことなのだろう。
お世辞にもこの国の治安はいいとは言えない。毎日どこかで爆発音が響くし、女性の一人歩きは厳禁だ。むしろ、男性でも一人でいると金品を巻き上げられる。

『───車両で逃走した模様です。警察はその場に残された菓子類を摂取しないよう呼び掛けており、回収を進めて───』

シリアルを口に含みながらテレビを見ると、ここ数年世間を騒がせている犯罪組織が活動している様を映していた。…正直あまり興味は無いが、私にとって関係がある、その問題は組織がばら撒いている菓子にある。

彼ら…彼女ら？がばら撒く菓子類は、特定不明な物質による中毒性を持ち、摂取した人間はしばらくその菓子を欲してやまなくなる。そしてある程度の期間その犯罪組織のメンバーに対して心酔するかのような素振りを見せ、その菓子の摂取をやめさせると症状は治まる。