【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ43)

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回る、廻るダンスフロア。
無理無理ダンスしたことないよ！と言う私を強引に引いて交互にリードしてくれる彼らは。

────少し、楽しいかも、なんて。
自然と笑みがこぼれてくる。
だって、私社交ダンスなんてしたことなかったのに。
踊れる、踊れるんだ。楽しい、これ。

「…俺ん時より長く踊ってへん？」

ぽつり、少し離れた場所でつぶやく志麻くん。はっとして私の目の前にいるセンラくんに「そ、そろそろ休憩にしない？」と勧めるも。

「もうちょっとだけ。もうちょっとだけ、あかん？」

い、いいよ。いや、ダメ、ダメなんだけど。彼はここぞという場所でわがままを発動させている気がする。
結局私が折れてしまうのだ。ダメだ、もっと厳しくいかないと。

春の頃、何かと気を遣ってくれていたセンラくんと立場が逆転している。ダメだ、好きに生きろとは言ったがもう少し協調性を────

────いや、協調性が無いとよく言われた私が言うのもおかしな話だが。
…ホールに流れている曲がそろそろクライマックスを迎えそうな調子だ、おそらくそこで離してくれるだろうから、そこまでにしよう。

「……よし、終わりね」
「えー？ケチぃ。もう一曲」
「いやいや、俺ずっとほっとかれっぱなしやん」

志麻くんが近くまで来てくれた。助けてくれ。
こちらの助けを求めるような表情に気付いたのか、少し笑って。
センラ、用意しとったんやろ？アレ。はよ食わせたりーや。と一言。

なんだ？食わせるって。

「ん、そうやった。ふふ、A、準備してくるからまーしぃに連れてきてもらってな」
「え？あぁ、うん」

たったった、駆け足で行ってしまった。
志麻くんと顔を見合わせて、コロコロ変わるやつだなあと。多分彼もそう思っているだろう。

「いや、ほんまに変わったなあ、センラ」
「だよねえ。でもよかったね」
「…そう、やな。Aやろ？ありがとうな」

ロケットさんにも言われたけど、私そこまでセンラくんに良いこと言った覚えないんだけどなあ。と。
「ところで」、と言う志麻くんの方に顔を向けると。

「詳細に何があったか聞かせてもらってもええか？」
「いやぁ、……それはちょっと」

思い出すのはあの唇に触れた感覚。ちょっと勘弁して欲しい。思い出すだけで顔が赤くなるフェーズからは遠のいたからいいものの、説明を求められるのはいつでも困る。