【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ37)

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「…どないしよかな。この間みたいにサプライズでもええねんけど」

ニヤリ、スマホの画面をこちらに見えないようにして言う彼。この間みたいなサプライズ。文化祭のティアラのことだろうか。

「あれ、ほんとにビックリしちゃった。あんな綺麗なのどこで見つけてきたの」
「あれ？そんなん俺らの手作りに決まっとるやん」

ペンダントを掴み、ゆらゆらと揺らせて得意げな顔をする志麻くん。なるほど、そういえば魔法でなんでもできる人たちだった。あのティアラみたいな、アクセサリーも以前につけてもらったことあるしなあ、と。

綺麗だったな、星空。
梅雨の終わり、夜空一面に広がる、一粒一粒がまるで宝石のように煌めいていたあの星々。
あの時貰ったヘッドドレスとイヤリングは、文化祭のティアラと一緒に大切にしまってある。

……自室の鏡の前で付けてニヤニヤしていたら、夕飯が出来たことを言いに来た志麻くんに目撃されてしまって恥ずかしい思いをしたことはなるべく思い出したくないのだけれど。

「めちゃくちゃ喜んでくれとったからさ、またあの顔見せて欲しくてさ。今回も内緒で準備してもええ？」
「いい、けど。準備すること私に言ったらサプライズじゃなくならない？」

「あっ」という顔をする二人。そこ、気付いてなかったのか。
三人でいる時にハロウィンパーティをすることを決めたから仕方がないのだけれど。

「ふふ、当日、楽しみにしてるよ」
「準備してんの知ってる状態のサプライズやん。ハードル上がるなあ」
「やりがいあるわ、スケールどんどんデカくしたろ」

スケールを大きくするという言葉に何をするつもりなのだろうと少し不安になるけれど。また空間丸ごと改変するつもりじゃないだろうな、と思いつつ。

いや、今色々と想像を膨らませるのは楽しみを潰すことになるかもしれないから、何かと考えるのはやめておこう。
楽しみだな、と手に提げた買い物袋を持つ手がなんだか軽くなったような気がした。

で、ハロウィン当日。
午後、そろそろ日が暮れだす時間。

「ほんまにすまん、一時間だけ！一時間だけどっか出かけててくれへん！？」
「いや別にいいけど。用事済ませてくるし」
「ごめんなあ、そろそろ暗なんのに女の子一人外出してもうて」

過保護すぎる。今の時間なら、これから一時間経っても丁度夕暮れ時だとは思うのだが。玄関で靴を履き替えながら、彼らに「いってきます」と言って家を出る。

さて、どこへ向かおうか。