【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ3)

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「Aちゃん、短冊とかもう書いたん？」

台所からセンラくんが顔を覗かせて聞いてきた。
こてん、と頭を傾けるとアシンメトリーの髪の毛が口元にかかってて、少し面白い。
今日は彼の部活がお休みだった為、夕飯の担当はセンラくんだ。

私は七夕飾りを買うために寄り道して、スーパーに寄って。

ついでにデザートも、と『七夕限定』と書かれていた、上に星型の黄色いフルーツが乗っている白と青のゼリーも買ってきた。今日が平日やなかったら全部作れたんやけど、とセンラくんは少し残念そうにしていたが。

「短冊はまだ書いてないよ、とりあえず他の飾り全部飾っただけ」
「じゃあ俺先に書いて吊るしてまおかな、まーしぃまだ帰って来なさそうやし」

水道の水を止めてタオルで手を拭く音がしたから、ある程度洗い物も終わらせてしまったのだろう。
彼の言う通り、志麻くんへ送ったメッセージはまだ既読すら付いていない。

「よいしょ、俺黄色〜」

字が見えやすいようにだろう、全て短冊は淡い色のものだった。
メジャーどころの色を集めたのだろうその短冊は、全て薄い色で。黄、桃、水色、黄緑。

やっぱり紫は無いか、と思い出したのは今はここにいない彼のこと。
私もなんか書くか、と手に取ったのは一番近くにあった黄緑。

「これどこら辺に付けたらいいん？」

もう書き終わったのか、と振り向くとテレビ横の笹に短冊を持ちながら立つセンラくん。どこでもいいよ、好きなとこ吊るしなよ。と答えると、控えめに下の方に吊るしていた。

何書こうかな、とペンをトントン、指に当てていると。
ピコン、メッセージアプリの通知が。

「志麻くん今学校出たって」
「お、もうちょいかかるかなって思っとったけど割とすぐやな。準備しよか」

台所に戻って行った彼はお盆に今日の夕飯を乗せている。今日はテラスで優雅に星を見ながら食べるのだ。
私も手伝お、と持っていた短冊に名前だけを書いて、笹の真ん中の奥、あまり見えないところに吊るした。

願い事は、わからない。