【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ20)

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気付くと彼女はその場にいなかった。
真っ先にまーしぃが気付いて、彼女の名前を呼ぶけれど。当然返事は無いし、人が多すぎて彼女を目視で確認することも叶わない。

今すぐ俺達以外の人間を消し去って探しに行くことも可能だが、それは彼女の夏祭りを楽しむ気持ちに水を差すようで出来なかった。
スマートフォンを取り出してメッセージアプリで電話をかけようとするも、『通話することができませんでした』の表示。なるほど、人が多すぎて電波が上手く届いていないのか。

そこで、俺達は二手に分かれて彼女を捜索することに。彼女を見つけたらペンダントで連絡すればいい、別にスマホじゃなくてもこれで連絡できるんだから、ってことで。

それで、彼女がいなくなったことに気付いた場所から歩いてしばらくしたところに。
彼女は、スマホを片手に不安そうな顔で神社の石段に座っていた。

「あ、Aちゃん」

すぐに顔を上げた彼女。すぐに安心した表情に変わって、俺に駆け寄ってくる。
…まーしぃが彼女に夢中なのも、少しわかる気がした。
勝手にご飯を買いに行ってしまって、はぐれてしまったことを謝る彼女。なんだそれ、言ってくれれば俺のどちらかが行っていたのに。と思いつつ、多分声をかけたけどこちらが聞こえなかったのだろうという思考に至る。

申し訳なさそうに団扇で少し顔を隠しながら謝る彼女。ええよそんなん、無事に見つかったんやし、と返しながら。
はぐれるまで持っていなかった筈の団扇に目が留まる。

「その団扇どないしたん？さっき持ってへんかったよな」
「あぁ、これ。暑いから買っちゃったの。綺麗だな～って」

彼女が綺麗だと言うその柄は、紫のアサガオが彩る和紙でできた団扇で。
紫、その色に少し胸の奥が騒めいた。
だから、というわけではないけど。

「…Aちゃんおったら合流しよって決めてた場所、あるからさ。とりあえずそこ行かん？」

大嘘。
俺達の星のお姫様になる、選ばれる女性の力の中にある『人を見抜く力』が発揮されないか少し不安だったけど。
不測の事態に動揺していた彼女はそれどころじゃないようで。

まんまと、俺の嘘に引っかかってくれた。