【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ11)

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次の星はRasalas(ラサラス)らしい、のだが。
私は現在、ロケットの更衣室で彼ら二人と格闘している。

「あ！ちょっと開けようとしないで！…もう本ッ当に最悪！江の島って聞いた時は喜んだのに！」
「ちょっ、着たら一回見せろやっつってるやんけ！あこれ一番ええなって思ってたやつやん、見せろ！」
「Aちゃんのケチ～、いいやん減るもんやないし」

「減る！」と更衣室から顔だけ出して大声で叫ぶ。
そう、夏の江の島。
眩しい日差し、キラキラと煌めく海。それに釣られて一点を見逃していた私がバカだった。

水着。

「ロケットさん！どうにかしてくださいこの状況！」
【大丈夫です、A様。どの水着をお召しになっていてもお美しいですよ】
「そういう問題じゃないんですよ！？」
「ほらA、オペレーターもそう言うとることやし、って力強っ」

頑丈かつハイテク設備なはずのロケット、更衣室の扉が私たちのせいでギシギシと悲鳴を上げている。後ろの方で椅子に座りながら笑うセンラくんは賑やかしを入れるように私にヤジを飛ばしている。本当に他人事だな。

あ、本格的にそろそろ扉の方がまずくなってきた。ミシ、という音に不安になって手の力を緩めた次の瞬間。

あ、開けやがったコイツ。
なのに私のことをじっと見て何も言わなくて。静まり返る室内、それが次第に羞恥を加速させて、顔から火が出るかと思うぐらい熱くなる。

「……あ、あんまり見ないで、恥ずかしいから…」

ぼそり、そっぽを向いて言った言葉。
瞬間、手首を力強く掴まれて。えっ、と思った瞬間には後ろの壁に押さえつけられていて。

「へ、ちょっと、志麻くん」

私の首元に顔をうずめた彼から聞こえるのは、深く息を吐くような音。
まるで、獣が獲物を狙う時のようなその声に。

まずい、瞬間的に本能が警鐘を鳴らすも掴まれた手首は少しも動かせず。逃げようと身をよじった時に、足の間に彼の膝が押し付けられているのに気付いて。相変わらず足癖が悪いなと現実逃避の方向に思考が向き始めたところ。

手首を掴んでいる手とは別の手で、強引に志麻くんの方へ顔を向けられて。

顔、近い。
これ、ヤバいな、と頭が理解するまでスローモーションに見えたこの瞬間。

「…ちょっ、まーしぃ！嫁入り前の女の子にそれは流石にまずいわ！」

椅子が倒れた音。突然のことに彼もフリーズしていたのだろう。
とりあえずは、助かった、のか。