【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ2)

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「ただいまあ、ホンマ暑うて信じられへんわ、ありえへん」というセンラくんがブツブツ言いながら帰ってきたのを玄関のドアが開く音で気付いて。
おかえり、とリビングに迎えると。

「いやなんやねん、それ」

私と同じリアクションをした彼。
志麻くんが「余ってるからって貰ってもうた」と言うとも〜そんなん置くとこないのに〜と世の母親が言うような事を言って。

いや、置くところはたくさんあるのだけれど。
七夕飾り作る？って話をしてたとこ、と言って七夕のメニューを思い浮かべようとしていたその時。

あ、麺伸びちゃう。
台所にあるそれを思い出して「先にご飯にしよ！」と荷物を置いてきてと促す。

「というか、学校で笹置いてるとこなんてあったんだ」
「職員室前ちゃう？それか生徒会のやつが貰ってくれ〜言うてきたから生徒会室前」

両方そこまで行く機会が無いから、うーんと唸るだけ。昨年も見た覚えはない。

...それにしても。笹がうちに来たのならスーパーで七夕飾りのセットが売ってるだろうから、それで済ませてもいいだろうか。
折り紙多分うち無いし。

笹を持って帰ってきた志麻くんより自分が飾りつけに積極的になっている事に意外だと感じつつ、冷たい麺を啜る。
最近やっと何かを楽しむ余裕が出てきたのだ。あまり他人といることが苦ではなくなってきたし。

この二人と初めて出会った時は、驚きが大きすぎて人見知りが発動するどころではなかったから今まで割と普通に話せてきたものの。
体育祭の後から人と話すことに慣れてきたとはいえ、他人からたまに悪意や下心を感じる時があって。
生きづらいというのはこういうことなのだろうか。

それに怯えてばかりいるだけでは生活はできないわけで。"慣れる"ということは非常に残酷なことではあるが、悪意を受け入れること自体に慣れたような、そんなところはあったりして。
上手く躱す術を身につけたのかもしれない。

たとえ気付かないうちにボロボロになっていたとしても、現在の私はそう思っている。

「じゃあ当日はテラスでご飯食べよか、何がええかなあ」
「素麺、はいつも食べてるか」

ちらし寿司とかしてみる？というセンラくんに確かにそれもメジャーどころかも、と星の形に切り抜いた野菜や卵が乗っているのを思い浮かべて。
デザートの話になると志麻くんも入ってきて。ほんと甘いもの好きだなあ、と思いながら動画サイトで見た事がある星空のようなお菓子に思いを馳せた。