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ピピピ、体温を測った時のような音。
「もう離してもらって大丈夫ですよ」、とセンラさんに言われ素直に指を離して。これで宇宙船の中で何が起こるんだ…と戦々恐々として身構えていると。
ピコン！【次の目的地が作成されました】のアナウンス。
作成されました？見つかりましたとかではなく？と彼らの方を見ると、先程のモニターを見て「まず一個目できたな」とか何だとか言ってる。
…星に行くのではなく星を作っている？
スケールの大きさに驚きや恐怖を超えて段々呆れや引く…いや、なんでもない。
「じゃ、一個目の星にこのまま向かうとしよか」
「いや、ちょっと、具体的に何をするのかって」
「今のと同じようにやってみたらわかるって、センラぁ、自動運転モードに切り替えで」
「はいはーい、目的地は『
センラさんが操縦席の操作盤を叩くと、操縦席前のモニターには”自動運転モードへ切り替え”と”目的地：θ Cassiopeiae”の文字が。
そしてその彼は操作盤の中心にあったボタン、だろうか。ここからだとあまり見えないが、それを彼が押すと。
中からせりあがってきた、砂時計のようなもの。
「…それ、なんですか？」
「あぁ、これ？Aさんの願いが叶うごとに砂が落ちていく、砂時計みたいなもんですよ」
「おー、見事に12色あるやん」
志麻さんの言う通り、その砂時計の中身、砂は12色に綺麗に分かれていて。
一番下は薄めのオレンジ、だろうか。次に濃い紫があって。その上にも緑、薄い紫かピンクのような色の砂…と層になって分かれている。
「これが全部落ちきったら、僕らの星に行くって感じですね」
「ふぅん、これ、人によって色の数が違うんですか？」
さっき、志麻さんが「見事に12色ある」と言ったのが気になってしまい。
「…あー、そうですね、今までで一番多かった人が12色だった、とか」
「でもこう色が多いと綺麗やなあ、他人事みたいやけど」
言いづらそうなセンラさんに、くつくつと笑う志麻さん。
聞かなきゃよかったかな、と今更遅い後悔をしたりして。だって欲が多いとか、自分が我儘であるような気がして。
そんなにわがままに生きてきたかなあ、と今までの長いわけでもない人生に思いをはせて。
色々なことを我慢してきたけど。と思ったけれど、我慢してきた分願うことも多いのかもしれない、と気付いて。
自分の内面がわからないまま、ロケットの窓の外を見つめた。
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作者名：#N/A | 作成日時：2021年5月31日 19時
