【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ35)

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家に着いたのは結構すぐで。傘を閉じて雨粒を払い落とす彼の横で、家の鍵を開けた。
少し雨が浸み込んでしまった靴下を玄関で脱いで、タオル持ってくるね、とセンラくんに声をかけると。

「え？もう？」
「何、どうしたの────って、あ」

輝く、ペンダント。
相合傘をしたかったことかもって思ったのは間違いじゃなかったんだ！と答え合わせをペンダントでしたような、それが合っていることに対して少し喜んだものの。
これ、相合傘だってセンラくんに間違いなくばれてしまう。

そう思った瞬間顔から火が出たように熱くなって、ぼふん、と音を立ててもいいぐらいの勢いで顔が真っ赤に染まって。玄関前の全身鏡に映る自分は変なポーズで、顔が真っ赤になっていた。
瞬間、にやりとする彼。うわ、本当にばれちゃった。

「Aちゃん、もしかして相合傘────」
「わああああああ！！もう言わないで！うるさい！」
「いやうるさいのはAちゃんの方やろ…」

と冷静に対処されてしまい、熱い顔を抑えながら早く冷めろ、早く冷めろと思っていると。
センラくんの後ろの玄関ドアが勢いよく開いて。もう一人のこの家の住人の、志麻くんがそこには立っていた。
彼は肩で息をしながら困惑した表情で。

「なんで！？」

と大声で言い、目の前に掲げた、紫の光が灯るペンダントを持って。
私に聞かないでほしい。やめてほしい。わざわざ傷を抉らないでほしい。

「っふ、まーしぃ、これなぁ」
「あっちょっと！言わないで！本当に！お願いだから！」
「なんやねんそんな顔真っ赤にして。…センラ、今度昼奢るわ」
「マジぃ？サンキュ～、さっきさあ」

わーっ！と二人の間に入って話すのを防ごうとするも。叫んでいる間に『相合傘』というワードが耳に入ってきた時点で多分もう、終わりなのである。

「はぁ？そんなん俺に連絡くれたら急いで下駄箱行ってたのに」
「いやどこで張り合ってんの、別に帰ってこれたからいいよ」
「ほんまAちゃんが赤なった瞬間めっちゃ可愛かったなあ」
「あーもうその話やめてって！」
「Aはいつでも可愛いけど？」
「なんっ…うっ、何、もう」

最近、というか林間学校の一件が終わってから志麻くんの様子がおかしい。
こうも直球にどうこう言われると喉の奥がきゅっと詰まって、息がしづらくなって。

急におとなしくなった私を不思議そうに二人が見ていることはわかっているのだが、その視線を受けながらゆっくりと洗面所の扉を開けて。