【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ4)

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「なんッ…本当に宇宙人、なんですか」
「おん、ほんまに宇宙人。俺からすれば君も十分宇宙人やけど」

はっ、そうか。宇宙人からすれば地球人も宇宙人である。宇宙人から見た宇宙人は宇宙人なのである。
…混乱してきた。
というか何で宇宙人、地球の言語、というか日本語を勉強したのにスタンダードな標準語を喋るんじゃなくてその次ぐらいに有名どころな関西弁を話すのか。
意味の分からなさに、先程同様頬が引きつる。

「む、迎えに来たって」
「そう。俺らは自分とこの星のお姫様を探しに来てん。で、君が第一候補」
「だ、だいいちこうほ」

候補が他にもいるのかよ。私だけではない事に、代わりがいることに何故か少し落ち込んだけど。
でもそれは…それは非常にまずい。
私が断れば他の子がキャトルミューティレーションでアブダクションされてしまう！
キャトルミューティレーションは厳密には違うけれど！

「君、なりたかったものは？」
「なりたかったもの、ですか」

突然の質問に、思わず真剣に考えてしまう。
ふと、視界の端に映るお城の屋根。
物語に出てくるようなお城で、綺麗なドレスを着たり、優雅にお茶会をしたり、舞踏会で王子様と出会いたいという幼い頃の夢が。忘れないでとでも言うように、途端に記憶が呼び起こされた。

「私…、私。お姫様になりたかったんだ」
「やろ？だから」
「そう、こちらへ」

まるで絵本に出てくる王子様のように、彼らは私に手を伸ばした。
彼らのそれに応えるかのように。お城の遊具の滑り台を、勢いよく滑って。

この際地球人だか宇宙人だかどうでもいい、どうせ最初は家出するつもりだったんだ。
まさか家出先が別の星になるとは思わなかったが。
とにかく─────この嫌な現実から、連れ出して欲しくて。

「なります、お姫様！」

彼らの手を取って、人生最大の決意を。