【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ29)

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【完全に繋ぐことはできませんが、応急処置として痛みを抑えることや回復を早める処置をすることは可能です。ですが、絶対に無理はなさらないでくださいね】

ロケットさんのその言葉をしっかりと噛み締めて、隣に座る志麻くんが不貞腐れているのを見て。
幸いにも折れたのは利き手とは反対の手で、あまり日常生活に支障が出ることはなさそうだった。

咄嗟に志麻くんの手を掴んだのが利き手で、それとは反対の手で彼の頭を守ろうとしたからである。原因は私なのに、いや、一人で反省したのにロケットさんにも言われてしまったことに機嫌を悪くしたのだろう。

無言で夕飯を口に詰め込んでいる。
センラくんが「もっと味わって食うてやあ」、と不満を漏らしているから、私の方は「味噌変えた？美味しい」とセンラくんの機嫌をとるように話して。
あぁ、これか、彼が頑張っていたのは。

…もっと大変だったんだろうけど。

「ご馳走様」と言って食器を片付けて立ち上がった彼に、何か用事がある訳ではないが、思わずあっと声を上げてしまって。

「わっ、えっと、何でもないよ」
「A」
「…なんでしょう？」

あまり機嫌がよさそうではない彼の顔を見て、少しやっちゃったかも、と身構える。
────急に顔を近付けられて、ビックリして目を閉じると。ふに、と頬を触られて。

「っは、変な顔。飯食ってシャワー浴びたらはよ寝ーや」

えぇ…。急になんだ、彼は。早く寝ろ、ってことは多分怪我を早く治せ、ということなのだろう。それだけ言うと、彼は食器を持ってキッチンの奥に引っ込んでしまった。
ははーん、と言うセンラくんに何なの、あれ？と聞くも「おもろいなあ」とニヤニヤしているだけで。

「あれ？あんま覚えてへんの？」
「え？何を？」
「二人してくっついとったやん、あん時」
「あー、あぁ。背中合わせにはなってたけど」
「……なるほどねぇ、いや、ほんまにおもろいな」

何が面白いのだろうか。困惑する私を他所に、スマートフォンを取り出して調べ物を始めた。
そういや、と彼の視線はスマートフォンに向けられたまま、私に話しかけてきて。
「Aちゃんの砂時計、日本の12か月の決められてる色？と一緒みたいやで」と彼の見せてきた画像を見ると。あ、ほんとだ。４月の色から順番に────同じ色である。

その、話題に上っている砂時計を見ると。
５月の色が、もうそろそろ落ちきろうとしていた。