【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ28)

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痛い。
詳細に言えば、手の痛み。
激痛を感じて、目を覚ました。

目を開けると、見覚えのある天井。あ、ここロケットの中だ。先程とは違う、固くない地面、いい匂いのする寝室。志麻くんが言った通り、センラくんが迎えに来てくれたんだ。と安心して。

【A様、お目覚めですか】
「あ、ロケットさん。お久しぶりです」
【お久しぶりです。お会いできるのを心より楽しみにしておりました。…早速ですが、体調にすぐれないところはございませんか？】
「えっと。体調は大丈夫なんですけど、手が」

ピピ、電子音。カメラだろうか、起動したような音がして。

【─────！、腫れあがっていますね。すぐに治療致します。申し訳ございませんが、会議スペース横の治療室まで来ていただけますか】

何分、身体を持たない身ですので。と申し訳なさそうに言うロケットさんに、「足は大丈夫なので、それぐらいできますよ」と心配させない声色で返して。なるべく急いで操縦席と繋がっている会議スペースを通り抜けようとすると。

「A！」という眠る前に聞いた、彼の声が。
一瞬振り向くけど、「ごめんロケットさんに呼ばれてるから！」と治療室まで無視して走る。

だって手を握った後に顔を合わせるの恥ずかしいし。
後ろから「はあ！？」という声と椅子から立ち上がる音がしたから、多分追ってくる。
センラくんの笑い声も聞こえたから多分彼も一緒だし、加えてロケットさんと一緒なら恥ずかしくないから、それはいいけど。

【A様、こちらに手を置いていただけますでしょうか】

ロケットさんがモニターで示すのは、レントゲンを撮るような透明な板になっているスペースで。素直に従って目の前の椅子に座り、両手を置く。
ガシャン、大きな音がして、しばらくして目の前にモニターが出てきた。
と同時に、治療室の扉が開いて。

「A！何で避けんねん！俺別になんも────」
【志麻様！】
「うわっ、何やねん…」

ロケットさんの大きな声に、私も驚いて。

【女性の方に、ましてや姫様に怪我を負わせるなどあってはならない事です！しっかり反省なさってください！】

…物凄い剣幕で、いや顔は見えないのだけれど。志麻くんを叱っている。後から来たセンラくんが「うわ」、と苦笑いでつぶやいたことからするに、このお説教はしばらくの間続きそうだ。

ちなみに、目の前のモニターに映し出されたレントゲン写真の私の手は、片方、綺麗に骨が折れている部分があったとさ。