【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ24)

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目の前の彼と視線がぶつかって。
よ、４番。
同じ番号を引いたのは、幸か不幸か紫髪に目元のホクロが印象的な、彼。

そう、志麻くんだったのだ。
お互い嫌な顔をしている自覚はある。無言でありながらも"こんなこと早く終わらせるぞ"という威圧感があって。それはこちらも同じである。ただ、気まずすぎる。
…少しの可能性、仲直りという線も捨てきれないのだけど。

１番から順に肝試しをスタートしていくから、私たちの順番はすぐに回ってきた。
お互いに懐中電灯で行く先を照らしながら、真っ直ぐに進む。意外と彼はあまりこういうのが得意ではないのか、先生たちが驚かせる度にうわっ、と声を上げている。
…笑うと彼に睨まれるから、必死でそれをこらえていた。
私もあまり得意な方ではないが、去年全く同じことを経験している為、特に怖くは無い。

そろそろ折り返しかな、と思っていた頃。

急に、降り出してきた大粒の雨。
最悪、とつぶやいた彼は急いで目的地まで走ろうとするが、山道はすぐ雨が浸み込んでぬかるみ、歩きにくい地面へと変化してしまった。

「志麻くん、これ多分戻った方がいいんじゃないかな」
「折り返し地点って屋根のある場所やったりせぇへんの？」
「あー、いや。ただ先生がお札持って立ってるだけだよ。先生たちも戻って来るだろうし」
「わかった。じゃあ戻るとしよか─────うわっ！？」

その声に振り向いて、彼を見ると。ぬかるんだ地面に足を取られて後ろに転びそうになっているその瞬間で。
危ない、瞬間的に悟って。普段の私ではありえない瞬発力、運動能力を発揮していた。

「志麻くん！」
「っ、お前、アホ！手ぇ離せ！一緒に落ちるぞ！」

そう、彼は地面が見えない、暗闇の底へと落ちてしまいそうだったのだ。
大粒の雨が地面を叩き付ける中、それに負けまいと彼の手を必死に掴んで。彼のもう片方の手は地面を掴んでいるが、それも水を含んだ土であるが故にゆっくりと下の方へ落ちつつある。
まずい、このままじゃ────、落ちる。
下は先が見えない、真っ暗闇。地面が高いか低いかわからないそこは、賭けたとしても暗闇に飛び込むことは怪我のリスクが高くなる。さすがに私の腕も男の人一人を支えるのには貧弱すぎて。

「手ぇ離せ言うてるやろ！俺らは人間と比べて丈夫やから─────」
「…バカ！そんなんで離すわけないでしょ！絶対嫌だから！」

雨の中、命がけの口論は止まない。