【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ1)

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昔から、協調性が無いと言われていた。

協調性が無いというか、コミュニケーション能力が低いというか。
人見知りも相まって、とにかく人と関わることが苦手かつ下手で。

それを前提に置いて、昨年の高校一年生、一年間を振り返ると。
まあ、人と話していない。

そのまま人生を進めると当たり前だけど。私の周りには誰一人として人間がいなかった。

それを寝る前になってふと思い出して。
先程、親に一方的に知ったような口を利かれた事も関係して虫の居所が悪い。
なんだよ、ちょっとぐらいなら弱音を吐いてもいいじゃないか。学校に行きたくない、そう言っただけなのに。
日頃無関心なのに、自分の心が弱って、慰めてくれるかもと期待して弱みを見せたのが間違いだった。

今日で春休みが終わって、明日からまた学校が始まる。
憂鬱だ。

枕元の時計を見ると、時計の針がそろそろてっぺんで重なる時間。
...眠りたくないな、ともぞもぞ布団の中で動いていると、ひらめくひとつの名案。

そうだ、家出しちゃおう。

いや、家出じゃなくてもいい。
気分転換を兼ねて、真夜中星を見に出かけるのだ。

私がいないことに気付いた親が心配してくれるもよし、誰にも気付かれずに終わるもよし。
夜更かしして寝坊したら、あれこれ理由をつけたら学校に行かなくて済むかも。

とにかく、家を出よう。

のそり、起き上がって目を擦る。家の中は真っ暗だし、家族はもう寝静まっている頃なのだろう。
部屋の灯りを一番小さいものだけ付けて、寝間着から外に出てもいい服へ着替える。
寝間着のままでもよかったけれど、少し寒いだろうし。

適当に引っ張り出した服でいいだろう。
どうせ誰にも会わないし、星を見に行くだけだから。
結局、まだ一人で生きていく覚悟は決まっていないので家に帰ってくるだろうし。本格的じゃない、小さな家出だ。

音を立てないように静かに玄関まで来て、靴箱を開ける。

この間買った、まだ履いていない新品のスニーカーに手をかけようとして────
いや、やっぱりいいや。今からすることは別に特別なことじゃないし。

少しほつれた糸が出ている、使い古したスニーカーを手に取って。

...家の鍵は持って。
結局帰ってくる前提の行動しかしない自分に、ちょっと嫌気が差すけれど。

静かに玄関ドアを開いて、なるべく音がしないように鍵を閉めた。