CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅲ【utit】 (ページ5)

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ピロン、と聞き慣れた音を出した主を手に取れば、画面に映し出されたのは坂田からの『全員倒したで』というメッセージ。山積みの警備員をバックにまーしぃと坂田がピースで写っている写真付きで。

いや、そんな場所で自撮りすんなよ。

写真からは周囲の壁や床が抉れているのを確認でき、あの二人がかなり派手に暴れたことが容易にわかる。…まあ、Aとずっと一緒にいて力が溜まっていく感覚があるのに、発散する場所がお互い訓練場しかなかったもんな、とは思うけれど。

戦闘狂二人──いや、坂田は付き合わされてるだけか。物理的に解決しようとするあいつらの考える事は、理系で研究室に引きこもるタイプの俺にはわからん。

メッセージを読んで、そらるさんから貰った合流場所の地図画像を送り付ける。坂田だけだと不安だから一応まーしぃにも送っておく。「気を付けて来いよ」とだけメッセージも添えておく。

多分合流できるだろ、と携帯を閉じて前を向けば目の前にはそらるさんが目的としていたデータ室。彼は何の迷いもなくタッチパネル式の扉の鍵を突破し、その部屋へと乗り込んだ。

「…広っ、サーバーと紙の資料一緒にしてあんのかよ」

無数に並ぶ黒いモノリス──いわゆるサーバー、そして壁一面にはおびただしい量の引き出しが並んでいる。試しに一つ引くと中にはファイルが大量に詰められていることを確認できた。

センラとそのスケールの大きさに圧倒されていたが、例の彼はそんな俺たちを意に介さず部屋の中心へと歩いて行った。

モニターを複数構えるパソコンの前、オフィスチェアに腰掛けた彼は、重要なデータを保管していると思われるそのパソコンのロックをいとも容易く解除してしまった。

彼は何故ここまで知っているのかを──純粋に、疑問に思う。予想するとすれば、俺達と同じようなアウトロー、陽の光が当たる社会では生きていけないような者に思えるが。

彼に近付けば近付くほど、モニターに映し出されたファイルや資料の文字列がハッキリと見えてくる。中身を確認するためか複数の資料が展開されていたが、そのうちの一つに目を通すと。

「…被検体、ねぇ」

ずらりと並んだ投薬の記録。見知った薬の名前やその他毒の名前も並んでいる。基本的に人間に対して有益に作用するものばかりを投与されているが、不審なことに何度かに一度"あからさまに劇薬とされる毒"が投与されている記録だった。