CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅲ【utit】 (ページ18)

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白、追憶ページ18

これはほんの少しだけ、昔の話。

生まれた時は普通の獣人で、人間の姿に耳と尻尾が生えている、それだけの──普通の、一人の男の子だった。

…アルビノ、と呼ばれるらしい真っ白な毛と真っ赤な目を持っていたから、珍しいと言われることはあったけれど。

茶色、黒、金色──みんなには色んな色があるのに、僕にはそれがなかった。目は、赤かったけど。

ただただそれだけ、少し珍しいだけで、普通に僕は日常生活を送れていた。

それがある日突然、壊れてしまうことになる。

ある日、僕達獣人とは違う、原種の生き物。四足歩行の、本当の猫を見かけて。それを初めて見た僕は興味津々で、その姿を追いかけて行った。

その猫を観察しながら、街を駆け回る。たびたび猫の真似事をしながら──ぐっ、と伸びをしたその時。

なぜか、体がすごく小さくなってしまったような感覚に襲われて。目の前には小さかったはずの猫が──大きくなってしまったように、自分と同じくらいに見えて。

ふと、街中の服が飾られているショーケースに反射した自分を見ると。

そこには、真っ白で真っ赤な瞳を持った、一匹の白猫の姿があった。
それからだ、自分が普通ではないんだと身を持って知って、理解してしまったのは。

初めてそうなった時は思わず驚いて、訳の分からなさに混乱した。着ていた服は地面に落ちているし、自分の体は小さいし。

まるで猫に変身してしまったみたいだ、なんて思って。そうしたらしばらくして、冷静になってきて。

猫になっちゃったらどこに帰ればいいんだろう、って。

急に寂しくなって、小さな口で必死に着ていた服を引っ張って家に持って帰って。それでも、誰かを呼ぼうにもこの口は猫の鳴き声しか発さない。

だんだん日が暮れてきて、あたりは真っ暗な闇に包まれる。今と比べてもまだ小さかった僕は、悲しくて、寂しくて家の玄関の前でしきりに鳴いた。

僕がずっと帰ってこないこと、それに気付いた親が玄関のドアを開けたけれど。目の前の猫が僕だなんて気付くはずもなく。

僕だよ、僕だよって必死に鳴く、けど。僕には興味もくれず、僕が引っ張ってきた服だけを持って彼らは青ざめた。

そうして外へと僕を無視して出て行ってしまいそうだった親を前にして、「待って、置いて行かないで、僕はここにいるのに──猫じゃない姿に戻りたい、お願い、戻して」と必死で願ったその時。

驚くほどすんなりと、僕の姿は獣人へと戻ったのだ。