CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅲ【utit】 (ページ1)

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15.初めまして。ページ1

「…何だ、あんま追ってこねえじゃん」
「うまいことまーしぃと坂田んとこに集中したみたいやね、大変そ～やなぁ」

俺の隣で軽くそう言ったセンラ。おそらく、大変そうだとは一ミリたりとも思っていない。いつもの飄々とした雰囲気、ただ少し今はAの事で焦ってるから、"まーしぃと坂田に割く思考のリソースが少なくて"適当な返事をしている。

「あの二人には申し訳ないけど都合がいいな。こっちで用事、済ませるけど君らも？」
「あぁ、俺らもやる事あるわ。アンタ──なんて言ったっけ、そらるサン？近いところから済ませようぜ、どうせ目的地は一番上か下だろ」

「察しが良いね」と言って歩き出した彼、先程『そらる』と名乗った男性。正直、信用に値するかどうかは判断がまだつかない。

聡明、賢いといったイメージはついたものの。賢い故に信用できない、という部分が大きい。

「俺らは少し行った先の保管庫に用があるんだけど、アンタは？」
「データ室。ちょっと遠いかな」

じゃあ、先に保管庫に向かおうと歩き出す。…横目で彼の表情を窺うが、あまり何を考えているのかわからないな、という印象を受ける。

先程の方が明るかったような気がするな、気のせいかもしれないが。饒舌、かつ表情豊かであったような。今はどちらかと言えば眠たそうな表情だと感じる。

発する言葉に抑揚もあまりついておらず、結構適当に喋ってる、ような。

……何か、Aと会ったばかりの頃のセンラを思い出すな。Aがいる前ではキラキラ、爽やかって感じだけど俺たちの目の前ではいつも通りだったし。

まあそのAが今ここにいないし。というか、この人が『まふ』と呼んでいたあの獣人の少年に対して"Aの事を頼む"と言っていたのも気になる。

何、どういう事？そうなるとますますセンラの一件と似てるな。

少し先を行く彼らを目で追う。お互い初対面、の筈。センラはいつも通りの胡散臭い、薄ら寒い笑みを浮かべているし、あっちの"そらるさん"も特におかしな様子は無い。俺と同じ態度、な筈。

「センラさん、そっちが保管庫じゃない？」
「あ、ホンマですね。結構デカいなぁ…」

一つ疑問があるとすれば。

俺達、名乗ったっけ？

…まあ、別に名乗ろうが名乗らまいが、他の仲間たち──俺達のやり取りでも何度も名前は出てきていたから、名前の察しはつくのだけれど。