CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ38)

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美味な高級料理を口に放り込み、すぐさま実験室へと戻った私達を迎えたのは。

「──、一致しました。この『粗悪品』の出処はうちの"研究棟"、もしくはそれを"盗み出して悪用しようとした誰か"、でしょう」

一番、そうであって欲しくなかった結論が出た。加え、ここ最近で研究棟自体に部外者が立ち入りした記録は無い。彼らが粗悪品に困り始めた頃──私がまだ研究棟で働いていた頃の記録の話だから、おそらく間違いは無い。

つまりは。研究棟の誰かが彼らの菓子に粗悪品を混ぜたことになる…そういうことだ。孤児院を出てからはずっと研究棟に世話になっていたが。いくらある程度の期間所属してたとはいえ、あの広い棟の全貌は私でも掴めていない。

顔すら知らない人間も多数在籍している。そこから犯人を導き出すのは至難の技に近い。そこで、私たちが取る行動は一つに絞られた。

「じゃあ、Aと一緒に出るのはまーしぃで、他二人は俺とヘリな」
「えぇ～！まーしぃズルない！？」
「坂田声デカい…まーしぃは安牌だろ、俺らン中で一番強いし」

そう。一度私が同行する状態で街へ出て、見覚えのある顔が居ないか確認する事。同時に粗悪品が撒かれた際は回収も行う。

私には護衛として志麻さんが付き、他三人はいつも通りお菓子をばら撒く。何かが判明した際は深追いせずに清くアジトへ戻る。

志麻さん、坂田くん、センラくんの三人が戻ってきてから立てられた作戦、それに少し文句を言った坂田くん。うらたさんの立てた作戦だから一番確実ではあるということを理解しているものの、彼は感情的にはそれを許せないらしく。

センラくんは少し悩んだ後、私の護衛に付くのが志麻くんだからかその作戦を飲んだ。それこそ彼は私の護衛が坂田くんだったら猛反対していただろうし、一番安全かつ丸く収まるのは結局のところ志麻さんに一緒についてきてもらう事なのだろう。

「つーか坂田が一緒だったらAにくっつきっぱなしで仕事になんねぇだろ、センラも納得してるんだしいーじゃん」
「……ぐぅ」

拗ねたような顔をして静かになった彼。…せめてくっつきっぱなしという所は否定して欲しかったのだが。まあ、確かに坂田くんはあの薬が完成してからも私にぴったりくっついて離れないけれども。

こうして夜の街に躍り出る準備を整えたのだった。──怪しまれるといけないから、実験室に戻った際に着た白衣は脱いで。