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「これとかどう？…いや、こっちだな」
一応私に意見は聞いてくるものの、ほとんど彼一人で決められているような。これではセンラくんの趣味の服の中にうらたさんの趣味の服が増えるだけである。
一人で服を選んでいる彼を横目に見つつ、店内をぐるっと一周見渡すと。洋服以外にもアクセサリーや靴、傘まで置いているらしく。あまりアパレル業界、ショップに興味がなかった為詳しくないのだが、これが普通なのだろうか？
目の前の彼はまだまだ私の服選びに時間をかけるようだし、私も勝手に別の何かを見に行ってしまおうか。
先程発見したアクセサリーが置かれているスペースや、可愛らしい小物が置かれているところに足を運ぶ。
靴や傘も…最近はお洒落な柄の傘が多いのか、ビニールなのに模様が付いてて綺麗だな、と一本ずつ見ていると。これ可愛いな、まるでお姫様のような、可憐な女の子が持っている可愛らしい控えめなフリル付きの傘で──
ひた、と誰かの手に当たってしまう感覚。その小さな手に驚いて、思わず引っ込めて横を見ると。
そこには、まるで絵本の中から出てきたような──可愛らしい服装の、桃色の髪を持つ女の子が立っていた。
「わ、すみません。周り見えてなくて…！」
私が声をかけると、彼女は呆けたような様子で。それにどうしようか焦っていると、みるみるうちに彼女の頬がぽぽぽ、と赤く染まっていく。え？
すると、彼女は私と一緒に手に取ろうとした傘を二本、同じものを持って走り去ってしまった。
……どうしたものか。
何か悪いことをしてしまっただろうか──と彼女の走り去っていく姿を見ながら、また手元に視線を戻した。わ、わからない。久々に外に出たものだから、勝手を覚えていないのだな、と少しため息をついて。
──と、袖を弱い力で引かれるような感覚。振り向くと、そこには先程私の横にいた桃髪の女の子がいた。
「あ、さっきの。ごめんなさい、私──」
謝ろうとしたその時、ぐい、と何かを差し出されて。真っ赤な顔をしている彼女の顔から視点を下にずらせば、可愛らしくラッピングされた白い傘があって。
へ？と戸惑っていると、彼女は私の手を掴んでその傘を握らせた。そのまま彼女はペコペコとお辞儀を繰り返して、ラッピングされていない自分用の傘だろうか、私とお揃いのそれを大事そうに抱えて走り去ってしまった。
「あっ、えっ、えぇ〜…」
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結月。(プロフ) - この作品と出会ってから一気読みするほどめちゃくちゃ大好きです。作者様のペースで構いませんので、更新楽しみに待っております。 (2022年2月10日 2時) (
レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#N/A | 作成日時：2021年11月24日 21時
