CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ19)

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あの人、趣味が悪すぎる。
目の前の坂田くんは少しだけ頬が赤く染まっているし、口元を押さえてまるで恋をした麗人のような──恋？

いや、まさか。

「それに、時間が経つごとにさ、いっぱいAのとこ遊びに行ったら迷惑かなあとかさ、ちょっと冷静に考えたら女の子の腕食うとる成人男性の絵面ってヤバない？とか思ってもうて」
「…それは、まあ。ヤバい、かもしれないけど」

やっぱり？と笑う彼は自分で言っておきながらも少なからずショックを受けているらしく。でも、それは君が生きていくために必要なことなんでしょ、って。

「で、そこで悩んだりとかしてAんとこ行くん躊躇してたんよな。後普通に悩みすぎてお菓子も食うん忘れとった。お腹空いてても気付かんかったし」

それほどに？と少し驚いた。彼がそこまで考えるような性格をしていたことにも。何事にも素直だという印象を抱いていたが、考えすぎて行動に移せなくなるとは。

「でもそれで結局みんなに迷惑かけてもうたし、めっちゃダサいわ、俺」

俯いて、ぽつりと言葉をこぼした彼。自嘲的な笑みを浮かべるその表情に、私は何も言えなくなって。何か言葉をかけなければ、と思って開いた口は、何も言えることがないままゆっくりと、閉じてしまって。

「…ごめん、ちゃうねん。そういう話がしたかった訳やなくて。…ありがとうな、A。やっぱ、俺Aのこと好きやわ」

「………へ」

「え゛！？」
「え、うらさん！？聞いてたん今の！？」

好き。好き？いや、好きと言っても様々な種類のスキがあるじゃないか。そう、友好的な好きとか──いや、そんなことを考えている場合じゃないらしい。

「お前普通ここで言う！？いや大声出した俺も俺だけど！」
「ちゃうねん！うらさんおると思ってへんかってんって！」
「俺『あっちで昨日の続きやる』って言っただろうが！てっきりわかった上でさっきの話してんのかと思ってたわ！」

…私そっちのけで口論、というか盛り上がってて。一瞬、体温が急激に上がって茹で蛸のようになってしまいそうだったけれど、この調子ならすぐ冷める、ような。

「うわ！ダサいにも程があるやろ俺！」
「どーすんだよお前、もうこの状況滅茶苦茶だぞ」
「…あー、やっぱ、さっきのは言葉のあやっていうか」

…それこそダサすぎる。坂田くんの隣にいるうらたさんだって流石にそれはないとでも言うような表情をしているし。

どうしてくれるんだ、この空気。