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……このレストランLa Cèneのメンバーは一度人生を終えて幽世へ訪れた人間で構成されているようなのだが、幽世の創造主でさえ把握できない場所なんていうものは、一度は死んだ人間であるというのに訪れることができるのだろうか。
と、そのような騒動もあり、精神的に安定していれば食事も睡眠も特に必要としない俺達であっても新しいスタッフは、ここ最近は客足が遠のいているのだが…それでも、必要としていたのだ。
その新しい、La Cèneに迎えるメンバー。非常に気になる。とても。
その探求心が抑えきれず、もう何分も待ってるのに終わらなさそうだから開けちゃえ、と蝋印に手を伸ばしかけたその時。
「ストップ坂田!」
「え?────いっ…!」
声をかけられて触れる少し前で指を止めたが、その電撃は容赦なく俺の体を貫きかけた。
「名宛人以外が開けようとする意志を持って触ると電撃が走るってこの間も言わんかったっけ!?」
「う、言われた気ぃする…いってえ…」
「いつも考える前に体を動かすからそうなるんだよ」とよく呆れられていたことを思い出す。特に外傷がついた様子はないが、ピリピリとした痛みが指先から離れない。
「多分封蝋剥がせば魔法は解けるだろうから」とペーパーナイフを机下の引き出しから取り出し、封を切って俺に差し出した。
「そんな気になるんやったら坂田が先見といてや、俺は後で見るから」
「ええの?じゃあ見せてもらお」
封筒の中から二つ折りの便箋を取り出し、内容を確認する。
配属されるのはウェイター1名。寮に召喚されるのは今から12時間後。名前は───────
A。
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作者名:#N/A | 作成日時:2021年4月22日 21時