朱夏のレゾナンス (ページ26)

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気後れする私を物ともせず、
紫耀くんが働くカラオケ店に連れてこられた。

半ば強引に部屋に連れ込まれた私は
抵抗することをもはや諦めていた。

｢じゃ、彼、呼ぼっか！｣
｢え、あの、｣

満面の笑みで受話器を取り、
｢平野紫耀って男、呼んでください！｣

威勢のいい声だった。

この酔っぱらい、絶対面白がってる。

こんなんで本当に来てくれるのかな。

心の準備をする間もなく、
控えめに鳴ったノックの音。

背中に汗が滲んだ。

｢…失礼します…え？｣

私の顔を見て訳のわからないといった表情を浮かべた彼。

｢んじゃ、邪魔者は帰りまーす！｣
｢え!?渚さん!?｣

渚さんの突然の裏切りに慌てる私の耳元で、

｢元カレみたいに後悔することがないように
しっかり話すんだよ。｣

と、言った渚さんの声は優しかった。

去って行く渚さんに彼はますます戸惑っていた。

｢あの…話したいことがあって。
この後、時間ある？｣

｢…うん。俺も話したいことがある。｣

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