朱夏のレゾナンス (ページ16)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:15,941 hit

16 ページ16

･

帰宅してからも、彼のアイコンをずっと見つめ続けていた。

否定とは裏腹に、突然の出来事に少しだけ浮ついていたのだ。

でも、羞恥心が勝って自分からは連絡できなかった。

それに何を話せば良いのか、わからなかった。
謝罪でもすべきかな…。

唸りながら、思案に暮れていると、
鳴り響く着信音と表示された名前が私の心拍数を急上昇させた。

｢え、ちょ、どうしよ！｣

あまりにも心の準備が出来ておらず、慌てふためく私と、変わらず鳴り響く呼び出し音。

半ば、勢いとパニックで応答をタッチした。

｢もしもし？｣
｢もしもし…｣
｢ごめん、急に電話しちゃって。｣
｢あ、いえ。全然。｣
｢ふふ、緊張してるん？｣
｢し、してませんよ。｣
｢してるやん。｣
｢してません！｣

強がりやなぁ。と笑う声が、
私の緊張をすーっと解かしていった。

.