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ところが天倉が20歳の誕生日を迎える3日前、彼女はカニバリズムとの戦闘に巻き込まれた一般人の学生を庇って呆気なく死んだ。少し離れたところにいた天倉はそれに対応することもできず、死ぬ瞬間を見届けるしかなかったのである。せめて一瞬でも相手に隙を作れるような異能を持っていればとも思うが今更どうしようもない。人を庇って、だなんてある意味彼女らしい死に方ではあるが、かと言ってそう簡単に受け入れられるわけでもない。
誕生日の日、彼は連れて行ってもらう予定だった居酒屋に1人で行き、自分がどれくらい飲めるのかも全然知らないくせにハイペースでガバガバと酒を飲んだ。若い彼が顔を真っ赤にしながら飲んでいく様子を見た周りが善意でやんわりと静止をかけたのも無視をした。どこぞの女が大量に飲んだあとには記憶を無くしていたのを思い出してそのつもりで飲んでいたため止まるわけにはいかなかったのだ。なのに一向に気分は上がらないし記憶もはっきりしてるしで諦めて家に帰ろうとした。そしてそのまま帰路の半ばにあるゴミ捨て場にて爆睡してしまう。経緯も何も知らない一般人からしてみれば最悪な酔っ払いである。
そんな彼をある少女──現在時点で天倉はお嬢と呼んでいる──が拾い、その少女に従者として差し置かれることとなる。少女としては放っておけなかったのでゴミ捨て場で寝ている男を拾ってみたら、酒とゴミの匂いで臭いし半泣きでダル絡みされるしで気分は最悪だったのではないだろうかということは想像に容易い。当然全ての顛末を覚えていたので天倉に従者にならないという選択肢は無かった。当時は〇〇サンと呼んでいたが、現在では扱いや距離感がわかってきたので気にせずお嬢と呼んでいる。
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作者名：雨宮 | 作成日時：2022年11月27日 13時
