検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:38,712 hit

褪せた青春* (ジャイロ) ページ17

.




ジャイロ・ツェペリ (孫視点)




亡くなった祖母の遺品を整理していると、手帳の隙間から色褪せた写真が一枚、ひらりと舞い落ちた。私はこの写真に見覚えがあった。



それは、おばあちゃんが亡くなる数ヶ月前に遡る。



「おばあちゃあん!コレ、おばあちゃん?」

歯を見せて豪快に笑う背の高い男に抱き上げられ、髪を抑えながら控えめに笑うちょうど自分と同い年くらいの少女を指差した。

「あら?これ母さん?この人、父さんじゃないわね」

同じ様に写真を見ていた母が言う通り、数年前に亡くなった祖父とは明らかに感じが違う。写真とおばあちゃんを何度も見比べていると、おばあちゃんはシワだらけの白い指で写真の男をなぞり、穏やかに笑った。

「そう、これはずっと昔のおばあちゃん。とっても良い旅をしたわ」

写真から窓の外に向き直ったおばあちゃんの横顔は寂しそうなのに、なんだか清々しいような不思議な表情をしていた。




私は舞い落ちた写真を拾い上げた。裏には雑な走り書き。


“未来のツェペリ夫人と”


私は写真に書かれた言葉が気になり、好奇心から手帳を読み進めた。手帳には、写真の男のこと、困難な旅路のこと、その男との悲しい別れ、おばあちゃんの奇妙な青春の総てが綴られていた。最後のページまで読み終え、褪せた写真を挟み静かに閉じた。

おばあちゃんは再び旅に出た。きっとこの豪快に笑う男も一緒だ。





褪せた青春




. 野菊さんリクエストありがとうございました!






( http://uranai.nosv.org/u.php/enq/S25MMK2/ )


(↑ から飛んで貴方の1番好きなお話のタイトルをポチってくださるとう嬉しいです)

彼女の舌は青い (仗助)→←愛しいあの子は曰く付き (ミスタ)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
64人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

孔雀の子(プロフ) - 鶩さん» ありがとうございます!混部短編集… 待ってましたあああ!楽しみにしています! (2019年2月28日 1時) (レス) id: 6656794f1c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 孔雀の子さん» んあぁぁあ!!!書きたい!書きたいです!!←....3月1日に混部の短編集を出来たら作ろうと思っているので、その時にまた書かせて頂きますぅぅぅ!!! (2019年2月28日 0時) (レス) id: 22c497b882 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀の子(プロフ) - 鶩さん» ありがとうございます~!7部読破後でも(ぜんぜんッ)構わないので鶩さんの書くギャグ味の強いジャイロ夢を読みたいです!!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 6656794f1c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 孔雀の子さん» はい!どんどんしちゃってください!!← (2019年2月27日 23時) (レス) id: 22c497b882 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀の子(プロフ) - 鶩さん» ところで!鶩さん!とうとう7部を読み始めたそうですね…(震え)!こんなところで恐縮ですが、リクエストしてもよろしいでしょうか…? (2019年2月27日 22時) (レス) id: e65ad6e5bc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:孔雀の子 | 作成日時:2018年10月28日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。