【文スト】福沢諭吉 恋愛集【男主】

愛が一つ　事件 ページ13

バンッ!!


全｢!?｣


突然大きな音をたて、探偵社の扉が開いた。


太｢A!?どうしたのその体ｯ!!｣


私が問い掛けても、Aは私をチラリと見るだけで、急いで医務室の方へ向かった。


彼の腕には、ぐったりした社長が抱えられていた。


私と国木田君、そして乱歩さんはそんなAの後を追った。


｢お姉様ｯ!!お姉様ｧ!!｣


Aは必死に叫び、与謝野女医を呼んだ。


ガチャｯ


与｢どうしたんだいｯ｣


｢福沢さんがｯ、福沢さんがｯ!!｣


与｢あんたその体どうしたんだｯ!!｣


｢俺の事は良いから早く福沢さんを観て下さいｯ!!｣


与｢わっ、分かった!!早く中へｯ｣


与謝野女医がそう促し、Aは社長を医務室のベッドに寝かせた。


そして、自分はスグに出て来た。


医務室のドアを閉め、扉にもたれて座り込んだ。


国｢…何をしているのだ…お前も早く治療を受けろｯ｣


国木田君は身体中血だらけになっているAを睨み付けた。


Aは刺されたらしい左肩を抑え、苦悶の表情を見せた。


｢…福沢さんの治療が終わるまで…絶対に受けません…っ｣


国｢出血多量で死んでしまうぞｯ!!｣


｢死んだとしても福沢さんが死んだ方が嫌だｯ!!｣


国｢っ｣


｢…あの人は、俺のために痛い思いをした…なのに俺がこの程度で喚いていちゃ、申し訳がない…っ｣


｢…あの人は簡単にやられるような人じゃないｯ!!なのにｯ、なのに俺のせいで…ｯ｣


Aは涙を流し、そう言った。


太｢…社長は君を命懸けで守ろうとしたんだと想うよ｣


｢っ｣


太｢なのに、君自らが命を差し出して、どうするんだ｣


｢…だって……だっ、て……っ｣


全｢!?｣


太｢A!?目を開けてAｯ!!｣


国｢Aｯ!!どうしたのだ目を開けろ!!｣


私達は、倒れてしまったAを抱き起こし、返事を待った。


しかし、Aは、涙を一すじ流しただけで、返事をする事は無かった…。

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