【文スト】福沢諭吉 恋愛集【男主】

愛が一つ　出会い ページ2

福｢…あの子は、殺されるのですか…｣


事を聞かされたのは、翌日だった。


モ｢あぁ。記録にも無かったし。それに引き取り手も居ないからね｣


福｢…そう、ですか…｣


…だが、あの子自身に罪はない…。


モ｢…何故君がそのような顔をする。元はと言えば君があの子を殺さなかったからだろう｣


モ｢家族と共に死ねば、少しは楽だったかも知れんな｣


福｢…｣


福｢…なら、俺が引き取ります｣


モ｢は？｣


福｢誰も引き取り手のないなら、俺が引き取っても問題は無いはず｣


モ｢君は子を育てるのがどういう事か…分かっているのか｣


鋭い視線が向けられた。


福｢…｣


モ｢…ま、良いや。どうせ殺すつもりだったのだから｣


福｢…ありがとうございます｣


モ｢あの子は今地下牢に居るからね｣


福｢はい｣


俺は足早に、地下牢へ向かった…。









福｢…｣


｢…ｳｯ……、……ｳｸﾞｯ……うあぁあっ…｣


…幼児は地下牢で、泣いていた…。


小さくなり、目に手を当て、溢れ出る涙を拭いていた。


俺は地下牢の戸を開け、中に入った。


幼児は俺に気付かず、泣いていた。


福｢…おい｣


｢っ｣


しゃがみ、幼児の頭に手を置くと、幼児は俺を見上げてきた。


｢…おじしゃんっ｣


福｢っ｣


幼児は俺に抱き着いてきた。


幼児を抱き上げ、背を優しく叩いた。


｢おかあしゃんとっ、おとうしゃんが…うごかなくなっちゃった…っ｣


｢ぼくがっ…はなしかけても…、…うぅっ…なにもいってくれないの…っ｣


福｢…｣


俺が、殺したからな。

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