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そしてとうとう放課後になってしまった。
これからのわたしたちの運命を決める時がやってきたんだ。
うまくいきますように……
お守りとして龍也とお揃いの亀のストラップをポケットに入れて資料室のドアを開けた。
『この部屋俺たちのおかげでだいぶ綺麗になったよね』
「そうですね……正確にはわたしたちだけど笑」
すると会話が途切れてわたしたちは一気に静まり返った。
「先生、これ……今日バレンタインなので」
『え！いいの？』
とりあえずブラウニーを差し出すと嬉しそうに受け取ってくれた。
でもやっぱりいつもみたいな反応はない。
当たり前なのにちょっと寂しく思ってしまう。
あぁ……いざ言うとなると緊張しておかしくなりそう。
どうか成功しますように……
「実は今日は先生に伝えたいことがあって来てもらいました」
すると龍也は首を傾げてわたしの目を真っ直ぐ見つめた。
その目はわたしに告白してくれた時と重なって胸がきゅうっと締め付けられた。
「このまえ先生には過去の記憶がないって言ってましたよね……」
『うん、』
「こんなこと言っても信じてもらえるかわからないんですけど……」
すると今までの龍也との思い出が走馬灯のように脳内を駆け巡ってくるから、一気に緊張が走った。
「わたし、実は……七五三掛先生の彼女なんです」
『え……？』
「意味わかんないですよね……でもそのブラウニーだって毎年美味しいって言いながら食べてたし、わたしのことだって"A"って呼んでた」
龍也は口をポカンと開けて頑張って理解しようとしていた。
でもそんなすぐにわかるわけないもんね……
「ブラウニー食べてみてください、」
味を覚えてるなんてことはないってわかってる。
だけど思い出してほしくてまた一緒に隣で笑いたいから……
すると龍也は袋からブラウニーを出してそのまま口に運んだ。
ゆっくり味わうように飲み込むと、その瞳は揺れながらわたしをとらえた。
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作者名：ｻﾘｰ。
| 作成日時：2020年1月18日 17時
