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『なんか困り事でも?』
「実は、、海里にもらったミサンガを無くしちゃって、たぶん海にあるんですよね……」
ただのミサンガだったらいいかもしれないけど、今回は「七五三掛先生と結ばれますように」って願いながら作ってくれたやつだから、紛失したままにするわけにはいかない。
絶対見つけなきゃ……
龍也は何も言わずについてきてくれて、海まで辿りつくことができた。
でも辺りは暗くなっていて足元が見えない……
それにいくら探してもミサンガらしきものは見当たらない。
「はぁ……どうしよ」
『とりあえず座りなよ』
龍也は砂浜に座って海を眺めていた。
わたしもその隣に座る。
『代わりに俺が作ってあげる』
「え、、」
『嫌?』
「いや、別に……」
龍也に作ってもらえるんだったらいいかな、って思っちゃった自分を叩きたい。
そして急に静かになって、沈黙が続いた。
なんか話題ないかな……
「あ、今日高橋先生と楽しかったですか?」
あーこんなこと聞きたくなかったのに……
どうせ自分が傷つくだけなのに……
『うーん、全然!笑』
「え?」
『特になにもしなかったんだよ。ただお揃いのキーホルダー買っただけ笑』
お揃いのキーホルダー……
そんなの"なにもしなかった"のうちに入るの……?
そんなカップルみたいなことして!
『ほら、これ』
プラプラと目の前で見せびらかしてきたのは、かわいい亀のストラップだった。
「それ、わたしに見せられても……」
『え?』
「わたし関係ないじゃないですか……」
『ちょっと、え?』
だって、高橋先生とのお揃いでしょ?
そんなのわたしが傷つくだけじゃん!
『違うよ』
するとポケットからもう1つ出てきた亀のストラップ。
『これ、中村さんとのお揃いだよ?』
「えっ!?」
『みんなには内緒ね?』
まって、頭追いついてないんだけど……
これは今の龍也からのプレゼント……?
嬉しすぎるんだけど……
「ありがとうございます……」
『うん、元気出してね』
微笑んで頭を撫でてくれるから、余計に嬉しいよ……
静かな波の音の中、わたしの心臓の音だけが響いてしまいそうだった。
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サリー。(プロフ) - ノエママさん» ありがとうございます! (2019年8月21日 17時) (レス) id: 7061ef67cf (このIDを非表示/違反報告)
ノエママ - いいね何度も押したいくらい好きな話です!!更新頑張ってくださいね! (2019年8月13日 8時) (レス) id: 746aad7aba (このIDを非表示/違反報告)
サリー。(プロフ) - カ ッ パさん» ありがとうございます!! (2019年7月6日 14時) (レス) id: 7061ef67cf (このIDを非表示/違反報告)
カ ッ パ(プロフ) - すっっごい楽しみにしてるので、今後も更新頑張ってください! (2019年7月6日 0時) (レス) id: 7e16490bd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サリー。 | 作成日時:2019年4月8日 18時