愛しい君に花束を。【 歌.い/手 】

クロスストーリー 3：☆ ページ4

そこから緊張がほぐれたのか彼女...木崎さんにほぼ質問攻めに近いことをされた。

名前はAというらしい。私と同じ名前で聞いた時は思わずびっくりしてしまった。

同じ名前の人に出会うなんて思っていなかったので不思議な縁もあるんだなあと彼女の話を半分聞き流しながら思った。


私より一つ年上だった彼女は少し頬を膨らませながらこちらを見る。
私といえば、ついでに今から向かう病院で診察を受けてこようか考え込んでいた時だった。


「 もう、私の話ちゃんと聞いてます？ 」

「 あっすみません聞いてませんでした 」

「 あーっ、やっぱり！ 」


明るくて綺麗な彼女の雰囲気にいつしか私も楽しくなってしまって、ついつい笑みをこぼしてしまった。


「 もうすぐ着きますよ 」

そんな私たちの話を何一つ反応することなく穏やかに車を運転してくれた運転手さんが一言、そう告げた。

「 ありがとうございます 」
「 ありがとうございますっ 」


私たちがそう告げると、タクシーの運転手はにっこりと笑って一言、「 仲がいいんですね 」と言った。


先程そこで出会ったばかりなのにおかしなこともあるんだなあと彼女と顔を見合わせて笑った。


不思議だった。久しぶりに人と何も考えずに話すことが出来たのは。

自分が首を突っ込んだお節介なのにいつの間にか助けられていたことに気づき、私は苦笑いをこぼすことしか出来なかった。

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